35歳で閣僚となり、将来の首相候補に挙げられたスワット・リパタンパンロップ氏も、今年で48歳。コーン、スワットという二人三脚体制を脱却し、国家開発党の単独支配者となったが、愛国党の出現で政治地図は大きく塗り代わり、首相への道はさらに遠のいた。このまま小城の主として満足するのか、愛国党と合併し、首相レース復帰を目指すのか。決断に残された時間はわずかしかない。
スワット氏は、1955年2月9日、ラチャブリ県生まれ。5人兄弟姉妹の第3子。父親は「蕭」姓の華僑で、苦力から身を起こし、行商、トラック運送会社、道路建設会社と、事業を拡張した。
スワット氏は父親の仕事の都合で頻繁に転校したが、事業の成功で、高校は都内の名門私立校、セントガブリエル校に通った。同じ学校の10年先輩が開発党のコーン・タパランシー前党首、同級生に開発党第1副党首に就任したプラウィット・ラタナピアン氏(元副商務相)、開発党から愛国党に移籍したゴーンポット・アサウィンウィチット氏(副商務相)らがいる。
カセサート大学工学部で学んだ後渡米し、米パデュー大学で交通学の修士号を取得。帰国後、父の建設会社、プラユーンウィットの経営に参加した。
プラユーンウィットの成功の秘けつは、ご多分にもれず軍人、政治家とのコネだった。スワット氏が経営に関わった80年代は、当時屈指の有力者だったアーティット・カムランエーク陸軍大将と関係を築き、東北地方の道路建設を次々と受注。地方空港の拡張、軍施設、大学などにも手を広げた。このころ仕事で知り合った工業団地大手アマタのウィクロム・クロマディット社長とは現在も親友同士という。
実業家として進むとみられたスワット氏だが、恩人のアーティット大将が首相獲りを目指し政党を設立したため、行きがかり上、88年の下院選に立候補することになった。道路建設で影響力があった東北地方、ナコンラチャシマ県から出馬し、なんと同じ選挙区のチャーチャイ・チュナワン首相(当時)をしのぎ、トップで当選。90年には早くも副運輸通信相に就任した。
91年のクーデターでチャーチャイ政権が崩壊した後、チャーチャイ氏が創設した国家開発党に移籍。95年に開発党幹事長、96年科学技術・環境相、運輸通信相、98年工業相、2002年大学庁長官、同年10月から労相と、常に日の当たる道を歩んだ。
98年にチャーチャイ氏が死去した際には、開発党を離れ、タクシン・チナワット氏(現首相)の新党に移籍するといううわさが流れた。結局コーン新党首の下に残留したが、その後も「血筋はともかく、人望、財力はコーン氏より上」「配下の議員を引き連れいずれ離党する」といわれ続けた。
こうした経緯から、10歳年下の実力者に対するコーン党首の気遣いは並ではなく、ほとんど共同党首といっていいほどの待遇を受けた。常に2人で登場し、閣僚になるときも差がないどころか、スワット氏が実質上になるケースもあった。
それなりに安定してみえた二人三脚体制だが、コーン氏の引退で終止符が打たれ、スワット氏は念願の党首の座を手に入れた。ただし開発党を取り巻く環境は5年間で大きく変化し、ワンチャンスで首相を狙える党から、存続が危ぶまれる弱小政党に没落している。どうてこ入れしようと党勢回復は困難で、本気で首相の座を目指すなら、愛国党と合併し、タクシン氏の後継者レースに加わるしかなさそうだ。重大な判断を先送りしてきた感があるスワット氏だが、難局でいかに舵を切るか。真実の時が近づいている。
■奥方は陸軍少将
スワット氏の妻のプーンピロム氏は、ナコンラチャシマの実業家一家出身、7人兄弟の末っ子。スワット氏とはカセサート大学の先輩後輩で、1974年、学生と軍部が衝突し多数の死者を出した10月14日事件の際に知り合ったという。当時スワット氏は学部の4年生、プーンピロム氏は新入生だった。
プーンプロム氏はカセサート大の修士課程まで進んだ後、陸軍に奉職した。軍の病院などで10年間教官を務め、後に国防省に転任。長く国防次官室で勤務し、数少ない女性将官(少将)に累進した。
16歳と14歳の息子2人は、いずれも英国に留学中。愛犬、「トゥーン」と「パク」が子供代わりだ。ちなみにスワット氏が結婚前に、プーンピロム氏にプレゼントした子犬の名前は「ラックマーク(とっても愛している)」。(03年3月)
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