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観光庁に苦言、脅威はベトナム

2006年3月4日(土) 17時47分(タイ時間)
 タイの観光産業は窮地に陥ろうとしている。その原因は観光業を担う側に問題がある。私は観光スポーツ省、特に観光庁(TAT)の政策に苦言を呈したいと常々思っている。政府と民間の連携プレーはもとより、政府内での連携が成り立っていないからだ。TATの政策は的確とは言えないように思える。コストの高い外国での観光広告にばかり予算を捻(ねん)出しているようだが、タイ国内向けの広報活動を疎かにしては効果は期待できないのではないか。伸び悩む観光客数が、3年前の省庁再編で発足した観光スポーツ省の出した結果だ。

 現在、近隣諸国の中で観光産業における最大の脅威はベトナムだ。ベトナムは政府が一丸となって観光産業をバックアップしており、目標を確実に見据えているため政策に無駄がない。それが観光客誘致に絶大な効果を上げている。わが国も是非見習うべきだ。ベトナムが目指しているのはインドシナにおける空のハブ。カンボジアのシエムリアップ(アンコールワット)、ラオスのビエンチャンはもとより、オーストラリアやヨーロッパ方面からの直行便も充実させ、ヨーロッパ人の入国ビザを廃止している。スカンジナビア、ドイツ、ロシアからの長期滞在旅行者の誘致が狙いだ。2005年にベトナムを訪れた外国人観光客数は200万人に達しようとしている。これは前年比9割増という驚異的な伸びだ。今年もこの勢いは止まらないだろう。

 このようにライバルであり、良き手本となる国(ほかにシンガポール、マレーシア、香港など)の政策についての研究機関を立ち上げる必要を感じている。常にライバルの情報を集め分析し、自国の戦略に生かすことが、今こそ重要なのではないか。タイ人は問題が起きてからやっと腰をあげるという悪習とも呼べる国民性を持っており、これは直していかねばならないと思う。

 手本の一つとして韓国も挙げられる。近年、タイでも韓国ブームが起こっているが、国内で放送している韓国のTVドラマが火付け役だ。韓国料理も親しまれるようになり、今年の中国正月には多くのタイ人が韓国を旅行した。このように、広告一辺倒ではなく、映画やドラマなどで文化を紹介していくのも効果的だ。

 幸い今年は観光客向けの魅力的なイベントが数多く予定されているため、観光客誘致目標は1300万人、観光収入は5000億バーツを見込んでいる。まず国王在位60周年記念の行事が多数開催される。スワンナプーム新空港の開港により、空の便が増加する。そして2月末にはオーストラリアのクルーズ船「パシフィック・スカイ」が寄港する。タイ湾とアンダマン海、それぞれが独立したコースに設定されているので、約1600人を乗せたクルーズ船が2隻寄港することになる。それだけでも観光客誘致20万人増を見込んでいる。

 ロングステイについては、いまだ手探りの状態だ。相手国から理解・協力を得ることが先決だからだ。そして快適なロングステイとは、自国のスタイルを押し通すのでは上手くいかない。タイ人の素顔や生活、習慣を理解する機会を作り、その上で私たちは快適な生活環境を調えて提供したいと考えている。

アピチャート・タイ旅行代理店協会会長
《newsclip》