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KCEエレクトロニクス社長 バンチャー・オンコーシット氏(55)

2006年3月25日(土) 21時31分(タイ時間)
 父方の祖父、クワン・オンコーシットは、ラオスで金融業、精米所、製材所などを 営んでいたが、ラオス政府に資産を没収され、タイに移り住んだ。その後タイで輸出 向けのシルバーアクセサリー工場を興し、現在は私の弟が跡を継いでいる。

 私はイギリスでグラフィック・デザインを学び、帰国後はアクセサリー工場のアートダイレクターを務めた。しかし、せっかく苦労して作ったデザインをすぐ模倣されてしまうためやりがいをなくし、PCB(プリント回路基板)の製造を始めることにした。

 1982年に、電子回路用チップの仕入れ、販売を手がけるクワン・ジャルーン・エレクトロニクスを創業。シンガポールや台湾など世界レベルの工場を視察し、試行錯誤の末、84年から輸出用PCBの製造を開始した。会社はその後KCEエレクトロニクスと改称し、88年にタイ証券取引所(SET)に上場した。当時の登録資本金は1200万バーツ、月産3万平方フィートだった。

 KCEエレクトロニクスは現在、バンコク都内のラークラバン工業団地で月平均45万 平方フィートを生産している。傘下にKCEインターナショナル(バンプー地区、月産平均45万平方フィート)、KCEテクノロジー(同90万平方フィート)、タイ・ラミネート・マニュファクチャーを擁し、グループ全体で月に180万平方フィートを生産している。東南アジアのPCBメーカーの中では最大規模、世界でも50指に入る。輸出比率は90%で、主な輸出先は欧州。売上高は2004年59.4億バーツ、昨年67.7億バーツを計上した。今年は80億バーツを目標に掲げている(タイ・ラミネートを除く)。来 年には30億バーツを投じてラークラバン工業団地に新工場を増設し、最大月産を90万平方フィート増産する予定だ。新工場ではPCB製造のほか研究開発(R&D)も行う。

 これまで、欧米と比較してタイで生産するメリットは低賃金だった。だが現在、ベ トナムのエレクトロニクス産業がタイを脅かしている。タイよりも労賃の安いベトナムに外国企業が参入し始めているのだ。ところがタイ政府は国内のエレクトロニクス産業の現状に無関心のようだ。通常、企業が1つのプロジェクトに投じる金額は3億−40億バーツ程度だが、BOI(投資委員会)の優遇措置を受けるには投資総額150億バーツ規模のプロジェクトを興さなくてはならない。恩恵を受けられるのは一部の大企業に限られてしまうばかりで、このままでは中小産業の多くがベトナムにとって代わられると懸念を抱いている。

バンチャー社長
《newsclip》