RSS

チュラロンコン大学

2006年4月7日(金) 13時55分(タイ時間)

ニュースクリップ21号(2003年9月10日号)掲載
Chulalongkorn University

 タイ最古にして最高の名門校、チュラロンコン大学。出身者は政財官界の上層部にひしめき、名前を挙げてもきりがないほどだ。高いステータスを反映し、「プライドが高い」「ドロをかぶらない」といったマイナス評価もあるが、タイ最高クラスの能力は間違いのないところ。今後もライバルのタマサート大学、士官学校と並び、未来のエリートを輩出する。

 チュラロンコン大学の歴史は、ラマ5世(チュラロンコン大王)時代の1871年、官吏養成を目的に王宮内に設立された近習団学校に始まる。1917年3月26日、ラマ6世の命により、タイ国最初の大学となり、チュラロンコン大学と名づけられた。名君チュラロンコン大王の名が使われているためか、通常タイ語表記では「大学××」としなければならないところを、「チュラロンコン大学」と固有名詞が先に来ている。校色はピンク(チュラロンコン大王の誕生日が火曜日で、火曜日のラッキーカラーがピンクであることに由来)で、校章になっている大学のシンボルはプラギアウ(王帽頂の飾り)。

 開校当初の4学部(工学、政治、文理、医学)から、現在では合計19学部を擁する総合大学に発展した。そのうち、医学部はマヒドン大学の、政治学部はタマサート大学の前身となっている。現在ある医学部、政治学部は新たに設置されたもの。専攻科目数は344を数え、学生数は約2万7,000人。うち約9,000人が大学院に所属している(2001年1月)。そのほかにも様々な研究所、センターなどを有し、医学、海洋科学、遺伝子工学などの自然科学分野、中近東イスラム学、国際安全保障などの人文科学分野で先駆的な研究を行っている。

 中でも、数多くの外国語を学ぶことができる文学部は特に有名で、タイトップレベルの外国語教育を行っている。1973年に設置された日本語学科は、多くの卒業生を輩出し、タイでベストセラーになった鈴木光司の「リング」や「らせん」、乙武洋匡の「五体不満足」の翻訳者たちもこの日本語学科の卒業生である。今年度から、日本語学科を志望する学生は、日本語での入学試験が義務付けられるようになり、レベルはさらに高くなっていく傾向にあるといえる。

 大学のキャンパスはタイの若者達が多く集まるサイアムスクエアに隣接し、近くにはMBKやワールドトレードセンターといったショッピングセンターがあり、周辺はとてもにぎやか。隣接するサイアムスクエア自体も実はチュラ大の所有地だ。

 正門を入った中央には噴水と芝生の広場があり、その隣には大学設立に寄与したラマ5世とラマ6世の銅像が建てられている。2平方キロメートルの広大なキャンパス内には緑も多く、都会の中のオアシスといった雰囲気で、ゆっくりと散歩が楽しめる。正門をくぐって少し行ったところにあるタイ様式の建物は建築家エドワード・ヒーリーが設計した大学最初の校舎で、現在は文学部1号館になっている。

 学部生は制服着用が義務づけられ、私服やサンダル履きでは講義を受けることができない。良家の子女が多く、駐車場にはベンツやBMWといった高級乗用車も数多く並んでいる。

 プミポン国王の次女で、気さくで明るい性格から国民に人気があるシリントーン王女も文学部の卒業生の1人だ。入学時は王室で初の国内大学入学として注目を浴びた。王女はフランス語とタイ語を学ぶとともに、タイ古典音楽部に所属し、大活躍された。現役閣僚のチュラ大出身者は、スラキアット外相、ワンムハマドノー内相、アディサイ商務相、スラポン情報通信技術(ICT)相、スダラット厚相ら。


* 学生(日本語学科)から一言「とにかく便利。スポーツ施設、保健所、ATM(現金自動預け払い機)、郵便局などキャンパス内になんでもあるし、サイアムスクエアが隣なので、放課後もすぐに遊びにいける」

* 教員(日本語学科専任講師)から一言「試験の点数を気にしすぎるところもあるが、学生はとにかく真面目。宿題などの提出物1つにしても期日をしっかりと守るし、授業態度も熱心。教師に対しても礼儀正しすぎるくらい礼儀正しい」


* プロはどうみる?三和タクトリクルートメントの井上真由美氏
就職の一手段として弊社を訪れる同大学の学生、または卒業生について、「理知的でプライドが高い」といったこと以外で一律的な傾向を述べることはやさしくありません。「勉強」という点から見れば泣く子も黙るトップクラスなのでしょうが、「社会性」を見る場合、残念ながら同じくトップクラスと答えることができません。

 外国人が言うところの社会的マナーは、育ってきた家庭環境に大きく左右されると思います。裕福な家庭に育ったから、チュラ大の卒業生だからといって、社会常識を身につけているとは限りません。むしろ、辛抱を知らず、雇用者からすれば扱いにくいこともあります。確かに、他校に比較すれば、極端に礼儀を知らない人はいなかったと思いますが。

 職掌によって、この大学の卒業生を指定したり、逆に外したりする求人企業があります。指定する場合は、標準的な教養を備え、深い知識・特別な知識に基づいた、より高いパフォーマンスを期待するためのようです。逆にチュラ大を外してくる企業は、「プライドの高さ」のために自分の期待した職務内容ではなかったり、職務分掌以外のことが受け入れられなくて、辛抱することなく短期間のうちに辞めていく可能性があることを経験されたからです。

 学生、新卒生は、学歴からくる自信で大きな期待を持って就職に臨んでいるようです。夢を持つことは大変素晴らしいことですが、周りはどんな学校を出ていても全て先輩であること、どんな些細な仕事でも会社機能の一部であること、ということも前知識として知っておいてほしいと思います。事実、この下積みをこなしてきた卒業生方は確実なキャリアアップを果たしています。チュラ大には高名な教授が多く、豊かな教養を身につけられる機会も多くあると思います。多数の外資系企業がタイに進出してきており、国際社会の中でどういう人材が求められるのかなど、同大学にて教鞭をとっておられる先生方も、学生達が実社会に出て戸惑うことがないように現実を踏まえて指導していただけたら、と思います。

タイ最古・最高の名門、政財官界に人材輩出
《newsclip》