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ASEAN出資のカリ鉱山、経営混乱で資金枯渇

2006年6月7日(水) 19時47分(タイ時間)
 東南アジア諸国連合(ASEAN)6カ国などが出資するタイ東北部チャイヤプム県のカリウム鉱山開発事業が窮地に陥っている。構想から30年、事業会社「ASEAN・ポタッシュ・マイニング(APM)」の設立から15年が経過したが、タイ政府の事業認可が大幅に遅れ、稼動前に資金が枯渇、従業員の給与遅配まで起きた。昨年新たなパートナーに選ばれた企業はタクシン首相と不透明な関係にある中国生まれのタイ人実業家、チャーンチャイ・ルアイルンルアン(中国名、厳彬)氏(51)傘下で、野党、反政府勢力が首相による利益誘導として批判している。

 2カ月前にAPM会長に就任したチュードチャイ・カンナパー財務省顧問はニュースクリップの取材に対し、「とんでもないものを押し付けられてしまった」とこぼす。就任後すぐ、会社に金がないことが発覚し、自ら金策に駆け回った。APMへの出資比率は、タイ財務省22%、同省系の銀行であるTMB銀行16%、テーパーラック社28%、ブルネイ、フィリピン、シンガポールの各国政府が各1%、インドネシアとマレーシアが14%ずつ、日本3%。本来なら政府の全面支援を受けるはずだが、事業を開始できないまま払込済資本金11.7億バ−ツを食いつぶしてしまった。

 厳彬氏は11億バーツでAPMの増資株を引き受け、同社株の49%を取得する予定だったが、昨年後半からのタクシン首相叩きで、在北京タイ大使館が同氏所有のビルに移転したり、与党・愛国党幹部が北京にある同氏所有のゴルフ場を頻繁に訪れていることが発覚。同時期にAPMへの出資計画が報道され、野党が不透明な取引として調査に乗り出した。厳彬氏は政局の混乱を嫌い出資を事実上見送り、APMの救済策は宙に浮いた。

【厳彬】中国山東省生まれで80年代にタイ国籍を取得したとされる。国籍取得の経緯は不明。タイ生まれの人気ドリンク剤「レッドブル」の中国での製造・販売権を持つほか、北京近郊でゴルフ場を経営し、英国人経済ジャーナリストが主催する研究機関「胡潤百富」がまとめた2005年の「中国富豪ランキング」で、「中国人」として30位にランクインしている。タクシン首相ら愛国党幹部と親しく、同党と中国共産党の橋渡し役的な役割を担っているとされる。
《newsclip》