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東ティモールの海

2006年7月21日(金) 16時00分(タイ時間)

 青い海と空を見たいなら、東ティモールだ。インドネシアのスラウェシ島とオーストラリアに挟まれた、長野県程度の小さな領土。高温多湿の熱帯雨林だが、オーストラリアから乾いた風が常に吹きつけ、雨は少ない。首都ディリのコモロ空港まで、インドネシアのバリ島からメルパチ航空で2時間弱。遠いようで意外と近い、世界を騒がせた島にある、知られざるリゾートだ。

 飛行機を降りた瞬間、青すぎるほどの空に目がくらみ、カラカラに乾いた空気に身を包まれる。日に肌をさらせば、あっという間に焼けてしまう。町は埃っぽさが気になるが、郊外にはタイのプーケット島やインドネシアのバリ島とは比較にならないほど澄んだ海が広がる。

 ティモール島は、ワニの化身だ。1人の少年が海辺で死にかけたワニを助け、ワニはお礼に太陽が昇る東の海へと少年を導く。長い旅路に力尽きて息絶えたとき、ワニは島と化した。



 ティモール島はほとんどが山、道は険しい。わずか10キロメートル先の隣町に行くにも、1〜2時間はかかるほど。無理して島内を回るより、のんびりと海を満喫したいが、山の緑と、海の青、高台から見下ろす景色も見逃せない。田舎では、キリスト教とアミニズムが融合した独特の風習が、郊外ですれ違う人々の衣装に現れている。自然だけでなく、島で暮らしてきた人たちの歴史をも感じさせてくれる。

 2002年5月19日、東ティモールは21世紀最初の独立国家として生まれ変わった。血なまぐさい内紛は過去に過ぎ去り、観光客が増え、日本食屋もさっそくオープンした。青い空と海も、いずれ過去の遺物になるかも知れない。


齋藤正行/1967年静岡県生まれ。newsclip代表。
《newsclip》