ニュースクリップ60号(2005年4月25日号)掲載
〈インタビュー〉
Mandarin Oriental Dhara Dhevi, Chiang Mai
Mr. Rachen Intawong (Concept Designer, Architect)
マンダリン・オリエンタル・ダラデヴィ・チェンマイの設計を手がけたラシェン・インタウォン氏はチェンマイ生まれの建築家&デザイナー。バンコクの大学で建築を学び故郷に戻ったとき、彼は改めてチェンマイの文化に出会うことになる。
「僕は家の中でも街の中でも常に、ランナーと呼ばれている文化に囲まれ育ってきた。しかしランナーとは何を意味するのか、よく知らないということに気がついて」
彼はそこで、チェンマイを都としたランナー王国と呼ばれた地方の文化を、徹底的に学ぶ。様々な本を読んだり、実際に村を訪ねたりしながら、ランナー美術・建築様式について知識を得ていった。
ある家のパーティーに招かれたとき、彼は家主のコレクションである美術品やインテリアなどを見て、「これはランナー様式、これは違う」などと、何気なく評していた。それを耳にした家主は彼に話しかけ、ランナー文化について語り合い、意気投合。その家主というのが、ダラデヴィのオーナーだった。
ラシェン氏は後に、ダラデヴィの設計を任される。当初の計画は、ダラデヴィのオーナーが買い取ったチェンマイきっての有名レストラン、“ル・グランドランナー(当時バーンスワン)”の改修と、同レストラン、20室ほどのビラ、ランナー芸術・文化を紹介する施設からなる“クラフトビレッジ”の建築だった。しかし、「真のランナー文化」を形にしようとする彼とオーナーの熱意が、「コロニアル」「ビラ」「パビリオン」の各形式の144ユニットへと構想を膨らませる。そしてこの壮大なリゾートホテル計画に、高級ホテル運営で有名なマンダリン・オリエンタル・ホテル・グループが参画する。
「伝統建築に最新設備を融合させた最高級リゾートホテルを建てる。それは世界に通用するものでなければならない」
彼はまず、世界中のリゾートホテルを見て歩いた。
「見て歩いたリゾートホテルを参考に、デザインチームと議論を重ねる。アイデアがまとまったら、次は地元チェンマイの職人を連れて、例えばミャンマー様式の彫刻を彫るのであれば、ミャンマーに出かけていった。職人自ら実物を見てもらいたかったからだ。そんなことをする建築家など、ほかにいない。職人たちも最初は戸惑っていた。でも本物を造るためには、そこまで時間をかけてつくる必要があった」
彼のコンセプトは、建物を単に建てるだけでなく、ランナーという流動的な文化そのものを、ダラデヴィに結集させることだった。
「ランナー文化というのは、タイ民族だけのものじゃない。だから俗にランナーと呼ばれるものだけでなく、ランナーの地に伝わった、ミャンマー様式やミャンマーに残った英国コロニアルスタイルまでも、取り入れることにしたんだ」
ランナー王朝の歴史は700〜800年だが、ルーツを辿ってランナー文化として考えると、実に1000年もの歴史がある。現在の北部チェンライ県一帯の土着民族が、中国から灌漑(かんがい)技術を学び、生活を安定させて居住地を広げたことに始まる。豊かになった民族は、現在のランプーン県にあったハリプンチャイ王国など周辺勢力を吸収し、ランナー王国を興す。途中、ビルマ(当時)の占領に遭うが後に国を取り戻し、タイの現ラタナーコーシン王朝が誕生するまで、常に発展を遂げた。
「いろんな民族が流れて住みつき、町が滅びてまた蘇るというくり返しの地だったんだね。そして、仏教が伝わる前から続く精霊信仰では、精霊と交信できる者があがめられた。精霊の多くは女性にのり移る。おのずと女性の社会的役割が多くなり、母系社会となっていく。東南アジアは母系社会が多いといわれるが、ランナー文化もまた、女性的であるともいえる」ホテル名の“ダラデヴィ”、ダラとは星、デヴィとは天使。女性的で神秘的なランナー文化にふさわしい名前だ。
「日本の方々へ。ここは工芸と緑が豊かな地、そして魅力的な伝統が残っています。日本人スタッフがランナーの民俗や文化について説明いたします。ダラデヴィを訪れた人は誰もが、懐かしい気持ちになることでしょう」
住所:51/4 Chiang Mai - Sankampaeng Road, Moo 1 T. Tasala A. Muang, Chiang Mai 50000
電話:0-5388-8888
ファクス:0-5388-8999
ウェブサイト:www.mandarinoriental.com
マンダリン・オリエンタル・ダラデヴィ・チェンマイ
チェンマイにオープンした、全く新しいコンセプトの最高級リゾートホテル、「マンダリン・オリエンタル・ダラデヴィ・チェンマイ」。単に宿泊するためだけの、単にくつろぐためだけのリゾートホテルではない。この地に700〜800年近く続いたランナー王朝の、その古き良き文化・民俗を再現した、一つの“村”だ。ここを訪れる人は皆、建物と風景の美しさに声を上げて驚く。
ミャンマーの王宮さながらの入り口に立つだけで、ランナー時代にトリップしたような錯覚に陥る。ランナー文化でなぜミャンマーなのか? それはランナー文化がその長い歴史の間、周囲の文化を取り入れてきたから。ダラデヴィはランナー様式が融合していった、マンダレー、ルアンパバーン、タイルー、タイヤイなど、タイ北部からミャンマーやラオスにかけてのさまざまな様式を再現している。
ホテル内部は、モダンな設備が整っていながら、どこか懐かしい田舎の風景。太陽の光、そして月の昇る位置までも計算され、全ての建物は建つ。どの位置から切り取っても、まるで絵画のように美しい。
部屋は「コロニアル」「ビラ」「パビリオン」形式、その数144ユニット(建築中の第2フェーズ含む)。リゾートホテルには欠かせないアウトドアのプール付きで、一つとして同じ内装の部屋はない。目の前には、田園風景がていねいに再現された庭園が。地元の民が本当に田を耕し、水牛がゆっくりと歩いている。工芸品の職人が通う家、ランナー式結婚式が可能な広場、アクテイビティセンターなど、様々なコンセプトの空間がある。スパはまるで王宮のような建物、内部は最新施設。宿泊も可能だという。
敷地面積60エーカー、ここは一つの“村”。宿泊者はこの地に栄えたランナー文化を、より深く体験することができる。まさにランナー文化のミュージアム、古美術の宝庫であり、リゾートホテルという名のワンダーランドだ。
マンダリン・オリエンタル・ダラデヴィ・チェンマイ-2
2006年8月2日(水) 21時45分(タイ時間)
《newsclip》
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