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反首相のサノ氏ら、新党旗揚げ

2006年8月3日(木) 15時53分(タイ時間)
【タイ】反タクシンを旗印に掲げる新党「プラチャーラート党」の結党式が3日、バンコク都内のTPIビルで行われた。勢力的には下院議席1ケタ程度と予想されるが、党首のサノ・ティエントーン氏(72)を始め、党幹部にはタクシン首相に個人的に恨みを持ち、かつ執念深い人材がそろっており、首相にとって厄介な存在となりそう。与党・愛国党内に残留している元サノ派の下院議員数十人の動向も気になるところだ。

 サノ氏はカンボジア国境のタイ東北部サケーウ県が地盤。アルコール飲料、木材、運送などで財を成し政界に転じ、95年のバンハーン政権、96年のチャワリット政権の立役者となるなど、一時はキングメーカーとして君臨した。01年の総選挙前に配下の下院議員数十人を引き連れ愛国党に移籍し、タクシン政権の発足にも一役買ったが、首相の権力拡大に従い影響力が衰え、今年2月、党内での冷遇に激怒し離党した。愛国党サノ派の下院議員のほとんどは党内に残っている。サノ氏のおいのセーンプラティープ・ティエントーン氏は今年7月、産業廃棄物処理場に反対する地元村長の車に爆弾を仕掛け大けがを負わせた容疑で逮捕されている。

 幹事長に就任したプラチャイ・リャオパイラット氏(62)は大手石油化学メーカー、タイ・ペトロケミカル・インダストリーの創業者、元最高経営責任者(CEO)。TPIは97年の通貨危機で負債35億ドルを抱え破たん。プラチャイ氏はタイ最大の債務不履行企業となった同社の経営権維持に向け、無数の訴訟、社員を動員した集会などで債権者と渡り合い、タイで最もタフな債務者と呼ばれた。しかしタクシン政権の介入で、TPIは昨年末に国営化され、プラチャイ氏の怒りの矛先は首相に向かっている。昨年末からの反政府集会にプラチャイ氏が資金援助したといううわさは根強く、首相自身が公の場で、プラチャイ氏が裏で糸を引いていると糾弾したこともある。

 副党首には第1次タクシン政権で農相を務めたチューチープ・ハーンサワット氏(61)、同じく副内相だったプラムアン・ルジャナセーリー氏(元内務副次官、66)らが就任した。チューチープ氏は過去に商務相も務めた大物だが、タクシン政権では汚職疑惑で閣外に追われ、その後事実上の政界引退に追い込まれた。プラムアン氏は解任後、国王の権限に関する本を執筆し、首相の有力な批判者となった。

 新党の性格を反映するように、結党式の来賓には、最大野党・民主党のステープ幹事長、野党・マハーチョン党のサナン党首(元民主党幹事長)といった強面の政治家が顔をそろえた。サナン党首は「私とサノさんは古いタイプの政治家同士。互いに理解しあえるし、国民のため一緒に働ける」とコメント。ステープ幹事長は「民主主義のために団結が必要」と述べた。サナン党首は出所不明の資産で5年間の公職追放処分を受け、05年4月に政界に復帰したばかり。ステープ幹事長は95年に、土地証書の不正発行疑惑で民主党政権を崩壊させた過去がある。

左から、プラムアン氏、サノ氏、プラチャイ氏
《newsclip》