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〈インタビュー〉パヌー・パタニー県知事

2006年8月11日(金) 03時59分(タイ時間)
——イスラム過激派が独立分離を求める理由
 マラユー人(*)はイスラム教徒であること、深南部3県はもともと独立国家であって占領時期でさえもタイ領よりマレーシア領の時代の方が長いこと、イスラム社会であるのだから国際的イスラム・ネットワークに参加して然るべき、という3点を彼らは主張している。

——タイ政府の主張
 マラユー人はイスラム教徒だけではない。仏教徒もいれば、キリスト教徒もいる。領土問題に関しては、深南部はタイであることが歴史的に明らかだ。そしてタイは自由な国だ。憲法により宗教信仰の自由が保障されている。イスラムのみを国教とした隣国マレーシアとは違う。私はパタニーで生まれ育った。この土地のことは、誰よりも理解していると思っている。政府の主張に、私は同感だ。

——問題の根源
 非現実的だが、分離独立を求める動きは確かにあろう。ただ、彼らが失いたくないのは、さまざまな違法行為の利権だ。中でも麻薬密売による利益は多大なものがあるだろう。そして、我が国の情勢不安を狙う、国際テロ組織といった国外からの干渉だ。これらがテロの根源となっている。

——分離独立派メンバー、テロ関与者
 2004年にテロが激化し、これに対して当局も治安維持に努力してきた。パタニー県内ではこれまでに、数百人が逮捕もしくは投降、テロ関与者の指名手配は48人にまで減少している。ほとんどが20代から30代後半の若者で、組織的にはベルサトゥに属しているとみている。

——問題解決に向けて
 テロそのものが起きない環境を築くのが重要だ。深南部3県では2004年以降、「タムボン(複数の村落からなる行政区)・サンティスク(平和なタムボン)」という政策を実施しており、パタニー県では70%のタムボンが参加している。年内には全タムボンの参加を達成する予定で、そのころには何らかの成果がみられるようになっているはずだ。また、発展に向けた資金投入にも注目していただきたい。政府はどの県よりも優先的に、深南部のインフラや投資環境の整備、教育などに巨額を投じている。(インタビュー:斉藤正行)

*:厳密にはマラユーという民族は存在しない。ここでは「マラユー語を話すマレー系住民」という意味で使われている
《newsclip》