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汚職調査、左遷、尋問 前首相派狩り本格化

2006年9月25日(月) 12時55分(タイ時間)
【タイ】クーデターで政権を掌握した「立憲君主制下における民主改革評議会(CDRM)」がタクシン政権の汚職調査と軍・警察、官僚機構からの前首相派の一掃に乗り出している。

 まず手をつけたのは、タクシン前首相の古巣である警察。21日に前首相の義兄のプリアオパン警察副長官、ジュムポン情報庁(NIA)長官、ピラパン総理府次官ら前首相派の警察将官4人を総理府付に異動し、NIA長官の後任に、ソンティ陸軍司令官・CDRM議長の側近であるワイポット陸軍中将を充てた。

 同日、国王の信頼が厚いジャルワン国家会計監査委員会(SAC)事務局長の職責を確認し、同事務局長の調査を妨害したとされる会計監査委員会を解散した。

 ジャルワン事務局長は新バンコク国際空港(スワンナプーム空港)の爆発物検知器や、新空港とバンコク都内を結ぶ鉄道に関する贈収賄、タクシン財閥の持ち株会社シンの売却について調査を進めている。

 同事務局長は04年7月、選出手続きに誤りがあったとして、憲法裁判所により解任されたが、上院が選んだ後任候補が国王の認証を得られず、今年2月、SACが全会一致でジャルワン氏の復職を決めていた。

 CDRMは翌22日、国家汚職防止撲滅委員会(NCCC)の新委員9人を任命した。新生NCCCは、01年にタクシン前首相の資産隠し疑惑を捜査した元NCCC事務局長のクラーナロン氏(63)のほか、検察官、判事などで構成され、委員長には王室開発プロジェクトに長年携わったパーンテープ氏(61)が就任した。2週間以内に業務を始める予定。

 前任のNCCCは、自分たちの給与をお手盛りで引き上げたことで有罪判決を受け、昨年5月に全員が辞任。後任の選出は手続き上の問題で遅れ、1年以上、汚職捜査機関が存在しない状態が続いていた。

 CDRMはまた、24日にタクシン政権の閣僚の汚職を調査する特別委員会を設置した。委員会に資産没収の権限を与えており、前首相の巨額の資産の一部が没収される可能性が出てきた。

 前首相は今年1月、自ら創業したタイ通信最大手シンの株式約50%をシンガポール政府の投資会社テマセクに売却。この取引で得た733億バーツの大半を、タイ国内の商業銀行に預金している。

 一方、前首相の義弟のソムチャーイ労働次官(59)は22日、辞表を提出した。21日朝、軍部に出頭した際には、「民主党政権のときは民主党、愛国党政権のときは愛国党の下で働いた。今回も同じ」とコメントしたが、「タクシン派狩り」の嵐の中、続投は不可能と判断したもようだ。

 ソムチャーイ氏は前首相の妹で愛国党の派閥領袖だったヤオワパー前下院議員の夫。99年から今年1月までという長期にわたり法務次官を務め、規則で任期延長が出来なかったため、一時的に労働次官に転出していた。

 前首相の実弟のパヤップ・チナワット氏は22日、北部チェンマイで軍に身柄を拘束され、2時間にわたり尋問を受けた。 

 前政権の閣僚・要人では、チッチャイ副首相兼法相(元警察副長官)、タマラック国防相(陸軍大将)、プロムミン首相秘書官長らが身柄を拘束されているもよう。ネーウィン前総理府相とヨンユット前天然資源・環境相は召喚命令を受け、21日に軍部に出頭、拘束された。

 クーデター当時海外にいた閣僚のうち、タノン前財務相、ソムキッド前副首相兼商務相、スラキアット前副首相はすでに帰国している。

 タクシン首相の妻のポジャマン氏と長男、次女は英国に出国したと報道されていたが、タイ国内にいたもよう。ロンドンで事実上の亡命生活を送っているタクシン前首相は22日、記者団に対し、「家族には構わないで欲しい」と述べた。
《newsclip》