RSS

タイのアルコール市場

2006年9月27日(水) 16時16分(タイ時間)
 一昔前、アルコールといえば合成ウイスキーだったタイのアルコール市場は、10年前のビアチャーンの登場で一変、ビールが一躍トップに躍り出た。ビール消費量は2004年で世界20位、前年比10%増の159.5万キロリットル(キリンビール調べ)まで伸びた。今後10年、合成ウイスキーの消費量は減少を続け、人気はビールに集中していくであろう。ビール以外ではワイン、日本酒では焼酎の市場参入に期待したい。

 我々がタイに来た30年前、酒といえば、「メコン」「セーンティップ」「セーンソム」などの地場製ウイスキーが主流だった。ウイスキーと呼ばれるものの、実はアルコールに色と香りを付けただけの代物。本来のウイスキーには程遠く、正確にはラム酒だ。最近売り出されている「100パイパーズ」などは醸造酒で、本来のウイスキーと呼んで差し支えない。

 当時、ビールといえば「ビアシン(シンハービール)」や「クロスター」ぐらいだった。それが1995年、上記の合成ウイスキーを造っていた「アルコール王」ことジャルーン・シリワタナパクディー(蘇旭明)氏がビール市場に参入、「ビア・チャーン」を売り出した。ビールはそれまで、庶民が気軽に飲めるほどの価格ではなかった。ジャルーン氏はそんな市場にビア・チャーンを安価で投入、ビアシンが独占していた市場シェアを一気に奪い取った。

 タイの人々がこぞってビールを飲むようになったのは、ビアチャーンの低価格だけが理由ではない。昨今の世界的なビール人気の影響が大きい。ビア・チャーンの登場は、絶好のタイミングだったといえる。いずれにせよ、今後10年はビール消費量が順調に伸びていくだろう。

 弊社でも将来的に、プレミア生ビールの販売を考えている。庶民ビールのビア・チャーンより高級で、プレミアムビール「ハイネケン」より安い価格設定だ。ビールの中でも、生は特に人気急上昇の商品だ。

 日本清酒は伸び悩みが続いている。もともとタイ人による消費がほとんどないこと、日本本国で清酒を飲む環境が失われつつあり、タイ在住日本人も飲む機会が減っていることなどが、大きな理由だ。

 故郷を思う在タイ日本人が多かった昔の方が、清酒の人気は高かったといわれる。弊社の清酒販売量も、3カ月でコンテナ1個(1800キロリットル)がせいぜい。タイでも「しのぶ」という清酒が造られているが、売れ行きが芳しくなく苦戦しているようだ。

 一方の焼酎は、日本はもちろん世界各国で人気が高まっており、タイでもその兆しが見え始めた。弊社の焼酎類の売り上げは、清酒の10倍。特に芋焼酎の売れ行きが伸びているが、これは女性の間で肌に良いと人気が出て、女性につられて男性が一緒に飲むようになったことが理由。それまでは臭みが強い芋といえば、庶民の酒だった。

 タイは造酒が難しい国だ。これだけビールの消費量が増えていても、原材料のホップは輸入に頼っている。良い酒を造る「うるち米」が取れないため、清酒の造酒も難しい。日系酒造メーカーがタイに進出する機会は少ないといえるだろう。弊社がベトナムに造酒工場を構えているのは、同国でうるち米が取れるためだ。

 輸入販売のチャンスは大いにありえよう。東南アジア諸国連合(ASEAN)域内で造酒、東南アジア諸国連合自由貿易地域(AFTA)による関税引き下げ処置を利用して輸入すれば、価格を抑えられる。日本からの輸入は関税60%、AFTAならわずか5%だ。

 酒類販売認可は、タイ資本であれば申請するだけで取得できるほど容易だ。世界的に人気が上昇中の焼酎をタイで販売するのなら、清酒の代わりともなる米焼酎に注目すべきだ。タイ人には芋はなじまないようだ。

アサン・サービス
1986年設立、本社は有限会社田中屋(山梨県)。しょうゆ・しょうゆ加工製品の製造販売、酒類・食品添加調味料の輸入販売を手掛ける。主にみりん、しょうゆを製造。系列会社のサン・フーズ(タイ)は1976年に設立で、今年30周年を迎える。外資系としてタイで初めて酒造認可を受け、みりんの製造を始めた。現在はアサン・サービスがみりん販売を受け継いでいる。ベトナムの田中株式会社(T.N.K)では、清酒、料理酒、焼酎、本格みりんなどを製造。

住所:101/1 Estate Moo 20, Klong Nueng Klong Luang, Pathumthani 12120
電話:0-2529-2678, 0-2529-4959
ファクス:0-2529-2680
《newsclip》