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愛国党、スリヤ幹事長らが離党

2006年10月12日(木) 14時41分(タイ時間)
【タイ】前政権与党・愛国党のスリヤ幹事長(前副首相兼工業相)とピニット副党首(前保健相)が11日、離党した。2人はともに同党有力派閥の領袖。

 愛国党は9月19日のクーデター後、有力幹部が次々と離党し、混乱状態に陥っている。英国で事実上の亡命生活を送っているタクシン前首相が10月2日に党首を辞任。これを受けソムサック前労相派、ソンタヤー元観光スポーツ相派、スチャート前下院副議長派、クーデター当時前首相とニューヨークに滞在していたスラキアット前副首相、前首相のビジネス界の盟友であるCPグループ/ジアラワノン財閥出身のワタナー前社会開発福祉相、スラナン前総理府相、前首相の後継者といわれたソムキッド前副首相兼財務相らが党籍を離れた。

 愛国党など5党は無効となった4月の総選挙での選挙違反に問われている。有罪の場合は解党命令が出る見込み。クーデターで政権を掌握した軍部は、解党となった党の役員の選挙権を5年間はく奪する命令を出しており、これが集団離党のきっかけになったようだ。

 離党した政治家は、政党活動禁止の解除後、タイ国民党、民主党などに移籍するか、新政党を設立し、1年後の選挙に備える見通しだ。国民党は第1次タクシン政権で連立内閣に参加し、愛国党の一部派閥と体質的に近い。老練なバンハーン党首(元首相)が愛国党離脱組を吸収し、一気に党勢を増す可能性もありそうだ。また、ソムサック前労相らがソムキッド氏を担ぎ新政党を設立するといううわさも流れている。

 愛国党に残留しているのは、プロムミン前首相秘書官長、プームタム前副運輸相、ジャトゥロン前教育相といった元学生活動家組と、親の代からタクシン前首相一族と付き合いがあるスダーラット前農相、ネーウィン前総理府相ら。愛国党は公称1400万人の党員を持つ巨大政党で、解党命令を回避すれば、総選挙で復権する可能性も捨てきれない。残留組は、こうしたチャンスに賭けているようだ。

〈愛国党〉
警察官僚から実業界に転進し、通信事業でタイ屈指の富豪となったタクシン氏が98年に設立。バラマキ型政策を前面に出した選挙手法と巨額の資金で01年の総選挙で歴史的な大勝を納め、政権樹立後はタクシン氏の政策実行力と派手なパフォーマンスで高支持率を維持。中小政党の吸収・合併で、05年の総選挙ではタイ史上初の単独過半数を制した。

〈スリヤ・ジュンルンルアンキット〉
54年、バンコク生まれ。米カリフォルニア大学バークレー校工学部卒。実家は地場自動車部品大手タイ・サミット・グループのオーナー。グループ企業数社の社長を務めた後、98年副工業相。第1次タクシン政権で工業相、運輸相。01年から愛国党幹事長。

〈ピニット・ジャルソムバット〉
51年、東部チャチュンサオ生まれ。70年代半ばにラムカムヘン大学学生会長、タイ中央学生センター副事務局長を務め、76年の武力弾圧で学生運動が壊滅した後、国境のジャングルに5年間潜伏。社会復帰後、鉱業、エビの仲買、不動産といったビジネスを手がけ、92年から下院議員。セーリータム党党首、副運輸通信相、副内相などを務め、01年にセーリータム党を愛国党に合併。タクシン政権で科学技術環境相、工業相、副首相などを歴任した。
《newsclip》