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シンガポールのテマセク、タイ通信最大手シン株売却か

2006年10月17日(火) 17時32分(タイ時間)
【タイ】シンガポール政府の投資会社テマセク・ホールディングスは10月16日、タイ通信最大手シンへの出資比率を引き下げる方針を表明した。タイ商務省、警察が外資出資比率上限規定(49%)違反で調査していることから、49%以下への引き下げが濃厚だ。

 テマセクは年内の売却を目指すもようだが、売り先がタイ資本に限定され、しかも取得費用が数百億バーツに上るため、交渉がまとまるかどうかは微妙。シンの株価は10月11日終値の28.25バーツが12日に34バーツまで急騰したが、今年3月のテマセクの公開買い付け価格49.25バーツを依然大きく下回っており、売却による巨額の損失は避けられない見通しだ。

 テマセクは今年第1四半期に、タイのタクシン前首相一族からシン株の約50%を733億バーツで取得。その後タイに設立した合弁投資会社を通じ株式公開買い付けを行い、出資比率を実質96%まで引き上げた。

 この取引は、前首相一族が売却益への課税を逃れたこと、テレビ、通信衛星、携帯電話などがシンガポール政府傘下となったことなどが問題となり、前首相退陣要求の発火点となった。放送、通信については10月5日、事業権破棄を求める大学講師の訴えを行政裁判所が受理した。テマセクがタイ人の名義人と複数の持ち株会社を使い外資出資規制を迂(う)回したとする疑惑もあり、商務省、警察が調査を行っている。

 シンの買収をめぐる問題は政治的な側面が強く、タクシン前首相がクーデターで追われた後は、厄介な遺産となった。外資が過半数株取得を認められていない業種では、外資が、テマセクと同様の手法でタイ企業の経営権を握ることが一般的に行われており、この問題を追及するとやぶ蛇になりかねないからだ。タイ暫定政府は、外資への影響を避け、かつクーデターの「正当性」を損なわない形での決着を図るとみられる。

〈シン〉
タクシン前首相が創業した企業グループの持ち株会社で、携帯電話サービス最大手AIS、通信衛星4基を所有・運営するシン・サテライト、地上波テレビ局ITV、プロバイダー最大手CSロクスインフォ、消費者金融のキャピタルOK、格安航空会社タイ・エアアジアなどを傘下に持つ。06年上半期の最終利益38億バーツ。6月末の資産総額850億バーツ。
《newsclip》