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数十年ぶりの大洪水、「浮かぶ家」構想も

2006年11月7日(火) 01時12分(タイ時間)
【タイ】タイでは約12年おきに大洪水が発生するという言い伝えがあり、前回の大洪水は95年に起きた。今年は5月ごろから北部で大雨が降り、土石流で多数の死者が出た。9月には北部、南部で大雨が続き、チェンマイ市の城門や仏塔が崩壊。10月に入ると、連日降り続く雨と、ナーン川とピン川を伝って南下してきた北部の雨水で、チャオプラヤ川の水量が中部ナコンサワン県で過去60年で最高に達し、中部一帯で大洪水を引き起こした。

 一連の洪水で最も大きく報道された地域は、アユタヤ、アントンなどチャオプラヤ川流域の中部一帯だ。「水没」した市街地、家屋、田畑の映像が、連日ニュースで流れた。特にアユタヤ市は、浸水によってアユタヤ時代の遺跡が水に浸かったままとなった。

 そのアユタヤ市を10月半ばに訪れた。市内の遺跡や寺院は排水処理が済んで観光客が訪れるなど、平常に戻っていた。(チャオプラヤ川から引かれた)運河に接した遺跡は、土のう、建設資材などで作った防水壁によって浸水を防いでいる。土手の上に立つと、陸地より運河の水位の方が高いことがひと目で分かった。

 遺跡や寺院以外の場所は防水壁の設置が間に合わず、床上浸水のままの家屋が目立った。運河から100メートル離れた場所に建つ家屋でも、水位はひざ上。水に浸かったままの軒先でなす術もなく座っている住人に尋ねてみると、すでに2週間このような状態が続いているという。「役人の話によると、11月まで水が引かないらしい。こうなったら今年のロイクラトン(11月5日の灯ろう流し)は軒先だ」と冗談を言っていた。

 チャオプラヤ川に接した同県セーナー郡では、1階が完全に水没している家屋が多く見られた。住人は2階の窓を入り口にし、ボートで出入り。チャオプラヤ川からあふれ出る水のため、一帯の路地は川と化し、通行用の板の橋が作られていた。歩くとガタガタする板の橋を歩いて奥に進んでいくと、ボートでやってきた初老の女性が、「そんな橋、あたしなど怖くて歩けない。案内してあげるから一緒にボートに乗りなさい」と誘ってくれた。セーナー郡では多くの道路が水没したままで、通行禁止の看板が至るところで見られる。



 バンコク都心部でも10月10日、豪雨でアソーク通り、スクムビット通りなどが浸水した。夕方から降り始めた雨で道路が水没し、帰宅ラッシュに重なったため、交通がマヒ。スクムビット通りからシーロム通りまで、通常の渋滞で30−40分ほどのところが4時間かかるという事態に陥った。



 中部の洪水は予想通り長引き、11月に入っても広範囲で浸水が続いている。スラユット首相は11月6日、中部15県の知事とビデオ会議を開き、洪水被災者の救済を急ぐよう指示。洪水時に「浮かぶ」家の開発も打ち出した。
《newsclip》