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元首相がタクシン氏帰国を支持、陸軍司令官と衝突

2006年11月12日(日) 15時48分(タイ時間)
【タイ】チャワリット元首相(元陸軍司令官、74)が軍政を批判したことに、軍政トップのソンティ陸軍司令官(59)が猛反発し、地元メディアの注目を集めている。12日付の複数のタイ字紙は一面トップでこのニュースを扱い、新旧司令官の衝突を報道。政治に疎いソンティ司令官が寝業師として知られる元首相の術中にはまり、自らことを大きくしたという見方もある。

 チャワリット元首相は10日、軍幹部が国営企業の会長、取締役などに続々と就任していることについて、「軍人はビジネスのことを知らない」「国民に疑われないよう、軍政は仕事のやり方を調整すべき」などと述べた。11日には記者会見を開き、「誰を非難するつもりもない」と前置きした上で、「派閥、グループで政府のポストをあれこれすると問題が大きいし、勘違いする人が出てくるかもしれない」と再度この問題を取り上げた。また、「タクシン氏をタイに帰国させたほうがコントロールしやすくなる」と、前首相の早期帰国を認めるべきとの考えを示した。

 これに対しソンティ司令官は、「チャワリット大将が内心何を考えているのか聞きたい」「知り合いを国営企業の取締役にしたいのか? 自分の部下の利益を図るのかもしれない」などと強い調子で反発。元首相が第2クーデターのうわさに言及したことにも不快感を示し、「誰がクーデターを起こすのか?こういう発言は国家を害する」と批判した。

 一方、タクシン前首相の顧問弁護士のノパドン氏は11日、北京に滞在中の前首相と電話で話し、今のところ帰国の意思がないことを確認したと述べた。陸の国境から密かに入国を図るといううわさも否定し、帰国するときはスワンナプーム空港からになると話した。

 チャワリット元首相は01年の総選挙後、自分が創設した政党を前政権与党・愛国党と合併し、タクシン政権で副首相などを務めた。しかし05年の総選挙後、政界から距離を置き、クーデター前にはプレム枢密院議長(元首相、元陸軍司令官)らと行動をともにした。真意の見えない不明瞭な発言、行動が多く、今回の発言も様々な憶測を呼んでいる。ソンティ司令官、スラユット首相らは直球型の軍人なだけに、元首相の変化球に振り回される場面もでてきそうだ。


〈チャワリット・ヨンチャイユット〉
 1932年生まれ。陸軍士官学校を首席で卒業、陸軍参謀長を経て86年5月に陸軍司令官、同年10月から国軍最高司令官代行を兼任。90年に退役しチャーチャイ政権の副首相兼国防相、2カ月後に辞任し、新希望党を結成。92−94年内相、93−94年労働・社会福祉相、94年副首相、95−96年副首相兼国防相。96年の総選挙で新希望党が第1党となり首相兼国防相に就任、経済危機で有効な対策が打てず、97年末に辞任。01年の愛国党政権誕生で副首相兼国防相、02年に新希望党を愛国党と合併。

 80年代の陸軍の民主主義グループのリーダー格。愛称は「ビッグジウ(大きなジウ。ジウは小さいという意味)。共産党対策で発揮した智謀から「タイの諸葛孔明」とも呼ばれた。経済危機時にはあまりの無策に「アルツハイマー症」説が浮上した。
《newsclip》