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民間テレビ局ITV、敗訴確定で破たん危機

2006年12月13日(水) 15時54分(タイ時間)
【タイ】民間テレビ局ITVの事業権をめぐる裁判で、最高行政裁判所は13日、仲裁委員会が認めた事業権の変更を無効とする1審判決を支持し、ITVに事業権料全額の支払いを命じる判決を下した。違約金は当事者のITVと総理府の交渉次第だが、地元メディアの試算では750億バーツに上る見込みで、政府が減額に応じない場合、ITVは倒産する。

 ITVの株価は同日、前日終値比25%安の2.1バーツに急落した。

 タイのテレビは90年代前半まで全局が政府、軍の管理下にあり、多数の死者を出した92年の民主化弾圧事件では、実情を伝えない官製報道が批判を浴びた。事件後発足した民主党連立政権は、こうした反省を踏まえ、民間テレビ局の創設を決定。王室系サイアム・コマーシャル銀行(SCB)、新聞大手ネーション・マルチメディア(NMG)など民間13社の合弁でITVが設立され、96年に放送が始まった。

 しかし、30年間で計252億バーツという巨額の事業権料が負担となり当初から赤字が続き、総選挙を半年後に控えた2000年半ばに、タクシン前首相が創業した企業グループの持ち株会社シン・コーポレーションが買収。シンは買収後すぐ、仲裁協会に事業権の見直しを要請し、04年1月、事業権料を売上高の44%(最低9億バーツ)から6.5%(最低2億3000万バーツ)に引き下げ、報道番組の割合を定めた規定を緩和する裁定を勝ち取った。ITVに事業権を付与する総理府はこれを不服として提訴、今年5月の1審で、行政裁判所が仲裁委の裁定を無効とする判決を下した。

 ITVは仲裁委の事業権料引き下げ裁定を受け、04年に創業以来初の最終黒字を計上、05年も7億バーツ近い利益を上げた。こうした利益は巨額の違約金で吹き飛ぶ見通しだが、前首相一族は今年1月、シンガポール政府の投資会社テマセクにシンを売却しており、うまく売り抜けた格好だ。
《newsclip》