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タイとシンガポール、タクシン前首相めぐり関係冷却

2007年1月16日(火) 23時58分(タイ時間)
【タイ】タイ外務省は16日、タクシン前首相がシンガポールで同国のジャヤクマール副首相と会談したことを不満として、1月末に予定されていたシンガポールのジョージ・ヨー外相の訪タイを取り消し、シンガポールとの公務員交流プログラムを停止すると発表した。シンガポールはこれに反発しており、両国関係は冷却化する見通しだ。

 タクシン氏は12日に中国からシンガポールに移動し、その後、ジャヤクマール副首相と会談した。この件についてシンガポール外務省は、「タクシン氏が何らかの罪で訴追されたとタイ政府がシンガポールに連絡したことはない」と指摘。「タイ国民はビザなしでシンガポールに入国でき、シンガポールがタクシン氏の入国を拒否する理由はなかった」「ジャヤクマール副首相はタクシン氏の旧友で、会談は社交的、個人的なもの」などと反論した。

 シンガポールのリー・クワンユー顧問相(元首相)、顧問相の息子のリー・シェンロン首相らリー(李)家とタクシン氏のチナワット(丘)家は同じ客家系華人。タクシン氏は、通信最大手シンなど自分が創業した企業に早くからシンガポール政府系投資会社テマセクの出資を受けてきたが、テマセクの執行取締役はリー首相の妻のホー・チン氏。こうした関係もあってか、両国はタクシン氏の首相在任中、「タイとシンガポールは2つの国家、1つの経済」を標榜し、非常に緊密な二国間関係を築いた。

 しかし昨年1月、チナワット家がシン株の約50%をテマセクに733億バーツで売却したことで事態は暗転。タイ史上最大の企業買収だったにも関わらず、チナワット家に個人所得税が課税されなかったことで、タクシン氏の首相退陣を求める街頭デモが激化し、バンコクのシンガポール大使館前でも抗議集会が行われた。結局、タクシン氏は9月のクーデターで失脚し、政治的保護を失ったシンは外国人出資比率規定や事業権違反などでタイ軍政の追及を受けている。シンの株価は現在、買収時の半分以下に下がり、テマセクは巨額の損失が避けられない見通しだ。
《newsclip》