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〈タイ業界事情〉 工場を冷やす遮熱塗料

2007年4月9日(月) 23時22分(タイ時間)
 タイではつい7年前まで皆無だった「しゃ熱塗料」に関する問い合わせや施工依頼が、昨年暮れから今年にかけて急激に増えている。日本では普及して10年、暑い時期が年2?3カ月と限られているにもかかわらず、しゃ熱塗料は目に見える効果を表してきた。急激な需要増加はなくとも、日系を中心に利用企業が増えていくのは確実だ。

 「熱を反射させる素材『セラミックビーズ』を加えた塗料を屋根などに塗ることにより、室内の温度を下げて労働環境を改善、空調費その他の節約で省エネを促し、二酸化炭素を削減して環境保全を達成する」のがしゃ熱塗料で、特に工場での需要が高い。諸条件によって効果に差が出てくるものの、弊社実績の一例を挙げると、屋根裏面の温度を未塗装時の最高75度から40度まで降下させ、その下にあるグラスウール保温材下部での放熱温度を10度強下げ、室内温度を4?6度低下させて空調費を30%強削減させた。

 しゃ熱塗料は省エネ・環境保全を目的に開発され、利用側もその実践を第一の目的としている。しかしそれ以前に、自社の労働環境への対策という重要な問題に取り組めるメリットがある。タイは常夏の国で、工場内も常に暑い。暑ければ仕事に身が入らないのは当然で、言うに及ばず生産率の低下につながる。「暑い国で育ってきた人たちだから大丈夫だろう」というのでは、離職率を引き上げるだけだ。省エネ・環境保全に取り組む企業は同時に、自社のワーカーを思いやって職場の環境の改善に努めている。

 空調設備を設けた工場なら、しゃ熱塗料の効果は空調費などの経費に数字となって現れる。自社の経費削減がそのまま省エネ、二酸化炭素の排出量の削減による環境保全につながるのだ。

 日本では一昔前に一般的となっているしゃ熱塗料が、タイではようやく注目を浴びはじめている。もちろん、地場企業より日系企業での利用が多い。具体的な計算式が求められるなど、質問内容が専門的となっているのが特徴だ。それだけしゃ熱塗料の効果に期待がかかっていることの表れだろう。これまでは自動車関連、精密機器関連の工場での需要がほとんどだったが、最近は食品メーカーからの問い合わせが増えている。

 温度上昇、屋根や構造体の劣化は、太陽からの赤外線・紫外線によるものだが、日本とタイでは強弱の差があり、タイ国内でも一様ではない。使う地域によって、しゃ熱塗料の配合の微調整が必要なわけだ。例えばバンコクでは、上空のスモッグの影響で、ある程度の赤外線・紫外線が削減される。北部では標高が高い分だけ赤外線・紫外線が強く、東部では赤外線・紫外線のほか、潮風による影響がある。さらに、工場の屋根面だけでなく、工場内の熱源、遮音、結露、精密機器の熱伝導などの抑制をも考慮しなければならない。

 屋根と壁に全て塗ればそれだけ効果が上がるかといえば、そうではない。「塗っても意味がない、効果を保証できない」箇所がある。「西日が強いから西側に塗って欲しい」という要望があるが、西日は特に温度上昇とは関係はない。西日を暑く感じるのは、それまで蓄積された温度に、眩しさが加わるためだ。

 タイでは最近、市販のしゃ熱塗料が売り出された。しかもどの程度の効果が期待できるのか首を傾げたくなるほどの安さだ。単に塗るだけでは効果を生まないのがしゃ熱塗料であり、日本でさえ市販は今のところない。

 どの業者もしゃ熱塗料を塗装する場合、未塗装面と試験塗装面のそれぞれの温度を測って数字で効果を表すなど、サンプルを提示する。気を付けたいのは、業者がどの程度の知識を持ち合わせているかである。製品自体の説明なら、流ちょうに出来て当然だ。しかし、その製品をどの地域で、どのような条件下で、どのように塗装すれば100%の能力を発揮できるのかとなると、どの程度把握しているだろうか。

 需要急増とはいえ、しゃ熱塗料の普及度はまだまだ低い。日系企業だけを取ってみても、せいぜい20%程度ではないだろうか。価格的にも決して安い買い物ではなく、景気の良し悪しや製造業の動向によって、利用は左右されるだろう。しかし、労働環境改善、省エネ、環境保全への取り組みは後戻りするものではない。それらに貢献するしゃ熱塗料の利用は、確実に伸びていくと確信している。

TAWAN C.K.S. (THAILAND) CO., LTD.
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《newsclip》