
オマーンの首都マスカットから、隣の大きな港町スールまで、海岸沿いを四駆で走っていると、突如として真っ白な砂のビーチがあらわれる。全長は200—300メートルの小さなビーチだが、砂の白さがほかとは違う。
人の姿はまばらで、店も何もない、静かなビーチだ。
ビーチにたどり着くまでは、海岸沿いの道とはいえ、まったく舗装されていないオフロード。岩山が延々と続く、この世の果てのような風景の中を無理やり車で駆け抜けてくるのだ。ガタガタゆれるハードなドライブの途中に現れるこのビーチは、天の救いのように見える。
マスカットとスールをつなぐこの道ができたのはつい最近。それまでは、日差しをさえぎる木陰すらない岩山が100キロ以上続く、道とはいえない道を人々はらくだに乗って移動していたのだそうだ。