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麻薬王の穴

2007年5月29日(火) 23時37分(タイ時間)

 「we believe」
 ガイドの男性は言った。クンサー(1934年2月17日生まれ)は、今もシャン州(ミャンマー)で生きていると、わたしたちは信じている、と。

 タイ、ミャンマー、ラオスの国境が交わるこの一帯を、ゴールデントライアングルという一大麻薬生産地として知らしめた、悪名高き麻薬王、クンサー。彼が拠点とした場所が、タイ北部メーサロン山のヒンテーク(現テェーットタイ)という場所である。今となっては忘れられた場所となり、すっかりさびれている。当時ゲリラのキャンプだった場所が、申し訳程度に歴史を伝える資料館として使われているだけだ。案内をしてくれた男性は、クンサーがここに居たときは自分はまだ小さな子どもで、戦闘に参加したことはなかった、という。

 キャンプの裏山に、ぽっかりと深い穴が掘ってある。何かしでかした兵士をこの中に落として、何日も、何カ月も、ときには何年も閉じ込めたのだそうだ。中は5、6人が入れる広さがあるというが、あっというまに気が狂ってしまうものもいたに違いない。

 1982年、タイ軍に敗れたクンサーはミャンマーに逃れた。それ以来、このあたりではアヘンやケシのかわりに茶やコーヒーを生産している。今はもう麻薬は生産していないのか、とガイドに問うと、「I hope so(そう願うよ)」と答えるのみだった。

 1996年1月、クンサーはミャンマー軍事政権に投降した。アメリカの支援によって勢力を拡大したクンサーに対し、アメリカは国際手配をかけた。ミャンマー政府に対し身柄引き渡しの要求をしているが、ミャンマーはこれに応じていない。
《newsclip》

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