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タイ軍政、前首相の資産約2000億円凍結

2007年6月11日(月) 17時14分(タイ時間)
【タイ】タイ軍事政権が前政権の汚職捜査のため設置した資産調査委員会は11日、タクシン前首相一族の資産を凍結すると発表した。首相在任中の権力乱用、汚職の捜査のためとしているが、反軍政の街頭デモが活発化するなど国内情勢が不安定なことから、前首相の資金力を封じ、反対派の押さえ込みを図ったという見方も出ている。

 タイ字紙コムチャットルク(電子版)などによると、凍結する資産は21の銀行口座に預金された529億バーツ(約2000億円)。タクシン氏一族は昨年、タイ通信最大手シンをシンガポール政府の投資会社テマセクに売却し733億バーツを得たが、200億バーツは所在がわからないという。

 タクシン氏一族の資産については、昨年9月のクーデター直後から、同氏の影響力の根源であり凍結すべきという意見が軍政内にあった。スラユット首相は法治の原則を盾にこうした要求を退けてきたが、権力乱用などの証拠がある程度集まったことから、資産凍結を認めたもようだ。

 前与党・タイ愛国党は選挙違反容疑の裁判で5月末に解党命令を受け、党役員の参政権が5年間はく奪された。判決後、バンコクでの反軍政デモは規模が急速に拡大し、先週末には1万人以上が参加、陸軍司令部前で警官隊ともみあうなどした。軍政はこうした動きをタクシン氏の差し金と判断、取り巻きの政治家に続いてカネを封じ、前首相の復権阻止を図るもようだ。


〈タクシン・チナワット〉
49年、北部チェンマイ生まれの客家系華人。中国名は丘達新。警察士官学校を首席で卒業後、米国に国費留学し、刑法学博士号を取得。帰国後、警察に勤務するかたわら、官公庁へのコンピュータ・リース、不動産開発などを手がけ、87年に警察中佐で退職。携帯電話サービス最大手AIS、通信衛星のシン・サテライトなどからなる通信最大手シン・グループを育て上げた。95年に政界に転じ、98年にタイ愛国党を創設。01年の総選挙で大勝し首相。05年2月の総選挙も圧勝、首相に再選された。06年9月のクーデターで追放され、英国、中国に滞在中。
《newsclip》