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タイの宗教

2007年6月29日(金) 14時17分(タイ時間)
 タイは一般的に、仏教徒95%、イスラム教徒4%、キリスト教徒、ヒンズー教徒ほか1%といわれている。ただ、出所によって数字が統一されておらず、特にイスラム教徒は公式発表の4%を超しているのは明らかで、仏教徒がその分だけ少ないと思われる。


仏教

タイの仏教は南伝の上座部仏教で、日本に伝わった北伝の大乗仏教とは異なる。タイ王室も仏教徒で、プミポン国王も出家の経験を持つが、仏教が国教とはなっていない。国王は憲法上、「仏教徒であり全ての宗教の庇護者」となっている。


 タイの仏教と日本の仏教の最も分かりやすい違いは、日本は多くの如来や菩薩が存在することに対し、タイは釈迦如来のみ。タイで仏というと釈迦如来しかなく、国中どこを探しても(中国寺院やスコータイ王朝以前の発掘物を除けば)仏像は釈迦如来となる。仏像はさまざまな図像があるが、これは釈迦が生まれてから入滅するまでの行動を逐一表したもの。


 上座部仏教は、出家して己が悟りを開くためだけにただひたすら修行する宗教であり、大乗仏教の菩薩のように迷う在家者を導くことはない。タイの在家者は輪廻転生の概念から、出家者の托鉢に施したり、布施をしたりすることで功徳を積み、現世よりもっと幸せな来世を得ようとする。


 ただ、上座部仏教が本格的に信じられるようになったのは、タイ最初の統一国家と呼ばれるスコータイ王国の誕生以後で、それ以前は上座部仏教、大乗仏教、ヒンズー教(バラモン教)などが混在していたようである。


バラモン教

 バラモン教は、インドで仏教が興る前のヒンズー教を指し、現代のヒンズー教とは分けて考えられている。タイでバラモン教と呼ばれる宗教も、古い時代に入ってきたヒンズー教を指す。


仏教同様に広く浸透しており、宗教というよりむしろ、アニミズム(精霊信仰)的に生活の一部となっている。手相に始まる占い、悪霊退治のまじないなどは、ほとんどがバラモン教によるもの。


偶像崇拝としては、仏教とバラモン教の境界線があいまい。神々は仏教では「仏教の守護神」となるため、参拝者は宗教を意識せずに手を合わせている。ただ、日本のような神仏融合はなかったため、像は仏教、バラモン教とはっきり分かれる。ブラフマー像、ガネーシャ像、トリムルティ像などが国内どこにでも祭られており、明らかにバラモン教と見分けが付く。


また、「インドラ(タイ語でイントラー)」や「ナラヤナ(同ナーラーイ)」など、バラモン教でもさらに古い時代の神の名を固有名詞に使う。このことから、タイにはかなり古い時代にバラモン教が伝わってきたとされる。また、「スーリヤ(同スリヤ)」や「ラクシュミー(同ラッサミー)」といった現代のヒンズー教の神の名も人名に使われている。


 王室儀式には、バラモン教そのものが存在する。タイの歴代の王朝はスコ?タイの時代より、仏教を手厚く保護してきたが、クメール王朝の影響を根強く受けている。現代に至っても、「国王は仏教徒」であるものの、「王は神の化身」「国王=神」というバラモン教的な統治は変わらない。代表的なところでは戴冠式、頻繁に見られる行事であれば毎年5月の農耕際などが、バラモン教そのものの儀式だという。


アニミズム(精霊信仰)

 アニミズムもまた、仏教、バラモン教と同様に一般庶民の生活に浸透しており、「ピー(精霊、お化け)」「ウィンヤーン(霊魂)」「クワン」などの存在が広く信じられている。


 町中でよく見かける、人間の胸ほどの柱に寺院のような建物が乗せられているのが、土地神の祠で「サーン・プラプーム」と呼ばれる。事務所内、自宅の室内の壁に設置された神棚のようなものは、そこを守る神で「ピー・バーン、ピー・ルアン」。死んだ身内の骨の一部を安置する人もいる。設置も撤去もバラモン教の行事が必要だが、仏教僧侶に頼んでもよい。


そのほか、アニミズムの特徴どおり、自然界のあらゆるものに、ピーは存在する。


 ウィンヤーンはいわゆる霊魂で、肉体が死ぬと抜け出る。輪廻転生するのがウィンヤーンとされ、アニミズムというより仏教的な考えから生まれている。


 クワンは人間、動物、草木などに宿るとされる。生まれたばかりの子供はピーで、生後4カ目にピーが離れてクワンが宿り、人間となる。そのため、生後3日間はピーに連れ去られないよう、子供をピーと思わせないために動物などの名前を付ける。このことからニックネームが始まったといわれる。


 物事に驚いて自失したときなど、「クワンが逃げた」と表現する。年上の者が年下の者に、手首に白い糸を巻きつける習慣があるが、「クワンが常に一緒にいますように」といったまじないと共に巻きつける。クワンは人間と常に一緒にいる存在で、「自分自身」と考えることも出来る。


イスラム教

イスラム教徒は少数派ながらも、タイ全国どこでも見かける存在。マレーシアとの国境地域では人口の80—90%がイスラム教徒で、町の至るところにモスクが建ち、1日5回のアザーンが鳴り響く。国内のモスク数は2006年5月時点で3507カ所(The Central Islamic Committee of Thailandによる)。この数は、ヨルダン、クウェート、バーレーンなどよりも多く、バンコクに関しても(175カ所)、ブルネイ、シンガポールより多いという。
《newsclip》