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勝てばタクシン氏ら恩赦、旧与党派党首が「宣戦布告」

2007年9月6日(木) 00時26分(タイ時間)
【タイ】旧与党・タイ愛国党(TRT)の主流派が移籍したパランプラチャーチョン(人民の力)党(PPP)のサマック党首(前バンコク都知事、72)は5日、年末に予定されている下院総選挙でPPPが政権を握った場合、元TRT役員111人に対する参政権停止処分を解除すると明言した。111人にはタクシン前首相も含まれており、前首相を追放したエリート層、軍部への宣戦布告といえそうだ。

 TRTは5年間ほぼ単独で政権を担った末、昨年9月の軍事クーデターで追放され、今年5月末、憲法法廷により選挙法違反で解党処分を受けた。解党にともない、タクシン氏、ソムキッド前副首相兼商務相、スリヤ前副首相兼工業相、ソムサック前労相、スワット前副首相といった党役員111人の参政権が5年間停止され、タイ政界に巨大な空隙が生じた。TRT主流派はその後、零細政党のPPPに大挙移籍し同党を事実上乗っ取り、サマック氏を党首に担ぎ、軍事政権との対決色を強めている。

 8月に投票が行われた、軍政が作成した新憲法案に対する国民投票は、賛成57%、反対41%だった。新憲法案が否決されれば民主政治復帰が遅れる可能性があった上、全国土の約半分が戒厳令下に置かれ反対活動が困難だったこと、軍政が国営メディアや兵士、官僚システムを動員し賛成票の取りまとめを図ったこと——などを考慮すると、反対票の割合は予想外に高かった。新憲法案反対を掲げたPPPは、東北部、北部で事実上勝利した形で、いったんTRTを離れた前・元下院議員らが、PPPの勢いを見て出戻りするケースも増えている。

 反PPP勢力は、PPPを孤立させた上で、前野党・民主党を中心に連立政権樹立を目指すもようだ。タクシン氏復活阻止が至上命題の軍政幹部が影響力維持のため政界に転出するといううわさも根強い。ただ、実質3度の総選挙ですべて大勝したタクシン氏の選挙マシンを封じ込められるかどうかは微妙。軍政や軍政の黒幕とされるプレム枢密院議長(元首相、元陸軍司令官)を恐れないサマック氏が党首に就いたことで、PPPが攻勢に転じることも予想され、総選挙まで、両陣営の熾(し)烈な戦いが続きそうだ。


〈サマック・スントラウェート〉
1935年、バンコク生まれ。貴族の家柄。タマサート大学法学部卒。1975年に副農相として初入閣し、76年に右翼団体がタマサート大学を襲撃し多数の死傷者を出した事件では右翼暴徒を扇動したとされる。70—90年代に副内相、内相、運輸通信相、副首相などを歴任。当初は民主党所属だったが、後にプラチャーコンタイ党を設立し、長く党首を務めた。2000年のバンコク都知事選で過去最高の100万票を得て圧勝したほか、2006年の上院選でも最多得票で当選。自らフライパンを握るテレビの料理番組などを通じ、お茶の間に人気がある。
《newsclip》