【タイ】タイ治安当局は7月から8月にかけ、深南部で大規模な「人狩り」を実施し、イスラム教徒のテロ容疑者数百人を逮捕した。一斉取り締まりの成果か、銃撃、爆破などの件数は目に見えて減り、現地では治安回復への期待が高まっている。この状況が長続きするのかどうか、パタニー、ヤラーの両県の警察に密着取材し、今後の見通しを探った。
テロ発生の可能性が高い夕方から早朝にかけ、パタニー市警の巡邏(ら)・検問に同行した。警官7—8人、陸軍兵士3—4人で1部隊となり、警官は防弾チョッキを着用、M16やHK33といった軍用ライフルもしくはグロッグなどの軍用拳銃を携行する。記者にも防弾チョッキや護身用のM16が用意される。深南部で活動するメディアは、たいていは銃を車内に持ち込んでいるという。
平時も非常時も、警官の任務は変わらない。巡回や検問といった日常の任務が、そのままテロ対策となっている。2人1組でパトカーとバイクに分かれ、それぞれのルートを巡回、地区を変わるたびに無線で現在位置を報告する。
検問は日や時刻によって場所が変わる。巡回中の警官と兵士は指定の時刻に1カ所に集合し、道路を封鎖して検問を行う。テロ犯のほとんどがバイクに2人乗りする若者であることから、検問の対象はもっぱらバイクだ。人種的な区別はせず、タイ系仏教徒もマレー系イスラム教徒も対象となる。
検問の内容は、免許証や車両登録証の所持で、テロ対策といった印象はない。シートの中、燃料タンクの中、所持品も調べるが、いたってお座なりだ。「テロ犯を見つけるためでなく、治安当局の存在をアピールし、常に警戒態勢を敷いていることを知らせるため」(部隊長)の検問で、ときおり武器を見つける程度だという。
このような巡回、検問が2—3時間のサイクルで一日中繰り返される。爆破、銃撃などのテロが発生すると、近くを巡回中の警官が現場にいち早くかけつける体制だ。
ヤラー市内では9月1日、毎年恒例のフルーツフェスティバルが開催され、ティラウット副内相やティーラ・ヤラー県知事らが参加した。テロがここ数週間沈静化していたことから、開会式では楽観的なコメントも出たが、式の最中に、2—3キロ離れた路上で爆弾が爆発した。被害はわずかだったものの、周辺が数時間にわたって封鎖され、爆弾処理班や消防が出動する騒ぎとなった。
深南部のテロ犯は、爆弾を爆発させて治安部隊をおびき寄せ、携帯電話を使ったリモコン操作で第2の爆弾を爆発させるという手口をよく使う。このときも最初の爆発で駆けつけた警官によってもう一つ爆弾が発見された。ただちに携帯電話の電波を妨害する専用車(ジャマー)が来て周辺の電波を妨害、爆弾処理の車両が出動して爆発物と思われる放置されたカバンに数発発砲、消防車が放水するという処置が施された。
テロ容疑者は数百人単位で逮捕されたが、証拠不十分で釈放された者も多い。肝心のテロ組織幹部は数えるほどしか捕まっていない。そして深南部には、近い将来テロ犯となるかもしれない若者が何十万人といる。誰もが治安回復を望んでそれを口にしながら、テロは終わらないと諦めているのが現状のようだ。
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