RSS

深南部で殉職の警察大尉、タイ王妃が葬儀主宰

2007年10月7日(日) 18時53分(タイ時間)
【タイ】先月29日にタイ深南部で殉職したトラニット警察大尉の葬儀が10月7日、シリキット王妃の主宰で東北部コンケン市の仏教寺院で行われた。王妃が尉官クラスの葬儀を主宰するのは異例中の異例。深南部問題に対するタイ王室の強い意思を示し、軍・警察の士気高揚を狙ったものとみられる。

 葬儀には、スラユット首相(元陸軍司令官)、ソンティ副首相(前陸軍司令官)、セーリーピスット警察長官らも出席した。

 トラニット大尉は部下10人ほどと農村地域をパトロール中、イスラム過激派とみられる武装グループの襲撃を受け、銃撃戦の末、頭と胴体に銃弾を浴び死亡した。
 

〈タイ深南部〉
 ナラティワート、ヤラー、パタニーの深南部3県には、もともとイスラム教徒の小王国があったが、約100年前にタイに併合された。現在も住民の大半はマレー語方言を話すイスラム教徒で、タイ語、仏教が中心のタイでは異質な地域となっている。行政と住民の意思疎通が不足し、インフラ整備、保健衛生などはタイ国内で最低レベルにとどまっている。
 タイからの独立を目指すイスラム教徒住民の武装闘争は断続的に続き、タクシン政権が発足した2001年から活発化した。警察派出所が襲われ一晩で警官十数人が殺害されるなど、2003年までに数百人の死者が出たが、政府は「山賊の仕業」として、独立運動の存在を認めていなかった。
 2004年1月に軍の武器庫が襲撃され、兵士4人が死亡、大量の兵器が強奪される事件が起き、これを機に「山賊」は「テロリスト」となった。同年4月には、警察派出所や軍駐屯地を同時襲撃したイスラム過激派を治安当局が迎え撃ち、1日で過激派108人、治安当局側5人が死亡した。10月にはナラティワート県タークバイ郡のイスラム教徒住民3000人が警察署前で抗議デモを起こし、1000人が逮捕され、治安当局による発砲などで7人が死亡、逮捕された住民のうち78人が軍用トラックで収容先に移送される途中、窒息死した。
 両事件後、過激派はテロの標的を兵士、警官から教員、一般市民に広げ、一方、治安当局によるとみられるイスラム教徒住民の殺害・失そうも増えた。過去3年半のテロ関連の死者は、イスラム教徒、仏教徒の双方を合わせ2500人を超える。
《newsclip》