RSS

マンC、タイの3選手と入団契約

2007年11月18日(日) 14時40分(タイ時間)
【タイ】サッカーのイングランド・プレミアリーグのクラブでタイのタクシン前首相がオーナーのマンチェスター・シティ(マンC)がサッカー・タイ代表チームの選手3人と入団契約を結び、16日、バンコクで記者会見を行った。タイ人選手がプレミアリーグのクラブに入団するのは初めて。タイは12月に下院総選挙を控えており、この時期の契約は、政権復帰を狙うタクシン氏の人気取り戦略という見方もある。

 入団が決まったのは、ディフェンダー、ミッドフィルダーのスリー・スカ(25)、ディフェンダーのキアットプラウット・サーイウェーウ(21)、フォワードのティーラシン・デーンダー(19)。スリーは東北地方のサコンナコン県出身で、身長176センチ、体重67キロ。タイのスター選手で、契約を結んだ3人の中心的存在だ。キアットプラウットは東北のウボンラチャタニ県出身で、身長189センチ、体重80キロ。ティーラシンはバンコク出身で、身長180センチ、体重69キロ。

 記者会見には、3選手のほか、マンCのエリクソン監督、タクシン氏の息子と娘が同席した。英国に滞在中のタクシン氏はビデオ出演し、「(タイ人選手の入団は)タイ国民と私の夢が現実になった」「タイの皆さんは、私がタイ人であり、祖国のために全力を尽していることを忘れないでほしい」とコメント。また、タイにマンCのサッカー学校を設立し、東南アジアのサッカー選手を発掘、育成する計画も明らかにした。

 タクシン氏は外遊中の昨年9月に軍事クーデターで失脚して以来、娘の留学先で自宅がある英国に滞在。タイ軍政に汚職容疑で指名手配され、タイには一度も帰国していない。クーデター後、政界引退を表明したが、同氏支持を公にしているパランプラチャーチョン党(PPP)を実質的に支配し、政権復帰を狙っているとみられている。

 タクシン氏は7月にマンCを買収し、多額の資金を投じ強化を進めてきた。これまでのところ成果は上々で、17日時点で今季リーグ8勝3敗2引き分けで3位につけている。マンCのホームページを英語のほか、タイ語、中国語にするなど、アジアのファン拡大に力を入れ、ビジネスとしても成功を目指しているもようだ。

 プレミアリーグはタイで人気が高く、試合の多くはテレビ中継される。タイ人が憧れの目で見ていた舞台で、タイ人がクラブのオーナーとなり、タイ人選手がピッチを駆ける、という図は、タイ人の自尊心をくすぐり、選挙でPPPに有利に働くとみられる。ただ、タイの新聞各紙は今回の契約について、タイ人選手のプレミアリーグ入り自体は歓迎すべきだが、政治的な意図が明らかだとして、辛口の報道が多かった。


〈タクシン・チナワット〉
1949年、タイ北部チェンマイ生まれ。警察士官学校を首席で卒業後、米国に国費留学し、刑法学博士号を取得。帰国後、警察に勤務するかたわら、官公庁へのコンピュータ・リース、不動産開発などを手がけ、1987年に警察中佐で退職。携帯電話サービス最大手AIS、通信衛星のシン・サテライトなどからなる通信最大手シン・グループを育て上げた。1995年に政界に転じ、1998年にタイ愛国党を創設。2001年の総選挙で大勝し首相。2005年2月の総選挙も圧勝、首相に再選された。2006年9月のクーデターで追放され、英国、中国に滞在中。チナワット(丘)家の先祖は19世紀後半に中国南部からタイに渡った客家系中国人。タクシン氏は2005年に、一族が住む広東省梅州の山村を訪れ、中国で大きな話題となった。
《newsclip》