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漁村から金持ちの町へ、タイ東部シラチャー

2007年11月19日(月) 23時03分(タイ時間)
【タイ】その昔はひなびた漁村、10数年前までは何の取り得もない町だったタイ東部シラチャーが、金持ちの町に変貌しつつある。シラチャー住民の多くが、日系企業という安定した職場を得てそれなりの給料を手にするようになり、豊かな生活を送るようになってきたからだ。町中の便利な場所に住み、自家用車で通勤し、余暇はグルメや流行の喫茶店でエスプレッソ。他の地方では見られない姿だ。

 全てとはいえないが、日系企業は地場の企業に比べ経営が安定し、給料が良い上、休みも多い。新年やタイ正月(ソンクラーン)の休みは週単位で、エンジニアやマネジャー・クラスになれば、数万バーツの給料を得る。タイ人は普通、親元に住んで職場に通うのが一般的だが、シラチャーでは自分で住む場所を借りる人がほとんど。通勤に便利な町中で一人暮らし、もしくは友人とのシェアというパターンが多い。賃貸料の相場は4000—6000バーツ。その価格帯のアパートの需要が伸び続け、建てればすぐ満室という状況だ。

 通勤には、会社の巡回送迎バスを利用する人が大半だが、ヴィオスやジャズなど小型車ではあるものの、個人で車を買って通勤する人も急激に増えた。タイの地方といえばピックアップトラックだが、シラチャーはバンコク並みに乗用車が多い。

 車購入のローン査定も、「日系企業で働いているのであれば心配ない」という風潮があるという。車が増えれば渋滞が起こるのは必至。もともと漁村で、大通りはバンコクから延びるスクムビット通りと、海岸沿いの通りだけ。それ以外は路地。またシラチャーから工業団地が集中する地域に向かう道はわずか2本。渋滞が起きないわけがない。

 食生活も変わってきた。毎日の食事に日本食が選択肢の一つに入り、いよいよスタバまで現れた。急激に豊かになったがゆえに、一方では恐喝、引ったくりも増えている。昔のように生活に窮しているのではなく、遊び金を得るための犯罪で、犯行には自家用車を使う。消費者金融も増えた。より豊かな生活を営みたいがため、返済のために複数の会社をハシゴする住民が増えている。

 シラチャーの住民が目に見えて豊かになり始めたのは、この3、4年のことだ。豊かになること自体は何ら悪くはない。しかし、急激な変化による拝金主義、犯罪の急増といったひずみが起きているのも事実。シラチャーの人々の暮らしを良い方向に導いてきた日系企業は安定した職場と高給を保証するだけでなく、この町に果たす社会的役割、責任も求められている。
《newsclip》