RSS

新党党首の大物実業家、株価操作で禁固3年=タイ

2007年12月3日(月) 21時59分(タイ時間)
【タイ】タイの大手セメント会社TPIポリン(TPIPL)の創業者で新党マチマーティパタイ党首のプラチャイ・リャオパイラット氏(63)らがTPIPLの公募増資で株価操作を行ったとして証券取引法違反に問われた裁判で、一審のタイ刑事裁判所は12月3日、プラチャイ氏とスターン・スチュワート&Co(タイランド)のチアンチュアン・カラヤナミット取締役にそれぞれ禁固3年、TPIPLとスターン・スチュワート&Co(タイランド)にそれぞれ罰金69億バーツの有罪判決を言い渡した。2人は即日保釈されたが、プラチャイ氏は実刑判決を受けたことで閣僚資格を失った。下院選の立候補は認められるという。

 起訴状によると、プラチャイ氏らは2003年12月に発表したTPIPLの公募増資計画で、適正株価は89バーツという虚偽の情報を広めた。同社の株価は当時約46バーツだった。資産査定はスターン・スチュワート&Co(タイランド)が行った。TPIPLは1997年の経済危機で経営が事実上破たんし、公募増資が失敗すれば、会社の所有権がリャオパイラット家から債権者に移るところだった。

 巨額の罰金を命じられたTPIPLは4、6日の2営業日で株価が36%下がった。同社はセメント(年産900万トン)のほか、低密度ポリエチレン(LDPE)とエチレン酢酸ビニル(年産、計15.8万トン)を生産。今年1—9月期は総売上高201.9億バーツ、最終利益21億バーツだった。

〈反タクシン運動の金主?〉

 プラチャイ氏は1944年、中部サラブリ県生まれの福建系華人。コメ輸出、金融、保険などを展開する財閥を父のポン・リャオパイラットから引き継ぎ、石油化学メーカーのTPI(現IRPC)、TPIPLを中心とするTPIグループをタイ最大級の企業集団に育て上げた。しかしTPIグループは1997年の通貨危機で40億ドルを超える負債を抱え経営破たんし、プラチャイ氏の驚異的な粘りにも関わらず、タクシン政権当時の2005年にTPIは国有化された。

 プラチャイ氏はこの一件でタクシン前首相を深く恨んだとされ、2006年の反タクシン街頭デモの資金源がプラチャイ氏だったといううわさは根強い。今回一緒に有罪判決を受けたチアンチュアン氏は、タクシン政権を追放した2006年9月の軍事クーデターの中心人物の1人だったとされるサプラン・カラヤナミット国防副次官(前陸軍司令官補)のいとこでもある。

〈新党に亀裂〉

 プラチャイ氏は判決から一夜明けた4日、マチマーティパタイ党の党首を辞任し、離党すると発表した。しかし下院総選挙の投票日が23日に迫っていることから、選挙活動の混乱を恐れる候補者、支持者から強く慰留され、6日になり前言を撤回。党首として選挙に臨む考えを明らかにした。ただ、このときの記者会見には一部の候補者と支持者、TPIPL社員らが集まったものの、党の主力であるソムサック前労相派のメンバーは姿をみせなかった。

 マチマーティパタイはタクシン政権の有力者だったソムサック前労相の派閥を基盤とする新党。地盤はあれど「カバン(資金力)」が乏しいソムサック派と、政権入りしTPIの奪回を狙っているとされるプラチャイ氏の思惑が一致し生まれた。しかしプラチャイ氏は党首に就任したばかりの11月、「党の登録で選挙委員会とマチマーの幹部に6000万バーツの賄賂を要求された」と暴露し、周囲をあわてさせた。この一件はソムサック氏の仲裁で納まったが、両者の関係には早くもすきま風が吹いているといわれる。
《newsclip》