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〈MUCHILIN〉 サソリ

2008年1月7日(月) 10時35分(タイ時間)
ミシュランならぬムシラン格付(全5つ☆):☆ 食べるのが、ただただ怖い。

 タガメ(メンダー)と並んでゲテモノの王道を行くのがサソリ(メーンポーン)。サソリを買うのは簡単だったが、食べるのはかなり勇気がいった。

 虫屋にサソリの揚げ物がどっさり。しかも体長10センチと大きい。売り子に値段を尋ねると20バーツとの答え。「高い、10バーツにしろ」と値切ると、「栄養があるから高いんだ」とムキになる。「揚げて中身はなくなっているのに、栄養なんてあるわけない。そもそもうまいのか?」。売り子は言い返せずにしばらく黙ってしまい、「なら10バーツでいいよ」と負けてくれた。本当は20バーツ。

 黒光りするサソリを、ハサミから食べるか、尻尾のトゲから食べるか。尻尾は毒で刺す武器だから後回し、じゃハサミから? これも怖いというか気持ち悪いというか。やっぱり食べたくないな、食べないと原稿が書けない、と考えること5分。

 結局、ハサミより柔らかそうな尻尾から食べた。ほかの虫類同様、エビの皮を噛んでいるような食感で、味はほとんどない。でもサソリを食べていることが嫌で、サソリを食べている自分さえ嫌になって、全部食べられなかった。

 虫を食べ続けて気付いたことだが、虫にも季節がある。サソリは雨期にしか売っていない。

 サソリは倒木の下、木造家屋の梁や壁の隙間など、湿気のある木材の中に隠れていることが多い。港湾などで使われる木製のスノコからも這い出てくる。

 「(虫を食べることで知られる)東北地方では、毒を持つ尻尾の部分だけをちぎって、生きたままサソリを食べる」などと、日本のガイドブックによく書かれているが、現地の人に聞くと、たいていは「そんなの見たことない」という答えが返ってくる。

 サソリに刺されたことがある。タイ人の友人宅(木造家屋)に泊まり、明け方寝ぼけ眼で壁にかけておいたシャツを着た途端、背中にビンタを食らったような痛みが走り、こらえるのに必死でしばらく声が出なかった。シャツに体長わずか2センチのサソリがくっついていた。

 背中の痛みは1週間続いた。それを尻尾をちぎるとはいえ、生きたまま食べるなんて信じられない。
《newsclip》