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タイ唯一の民放が公共放送に

2008年1月15日(火) 09時09分(タイ時間)
【タイ】昨年タイ政府に接収されたテレビ局TITV(旧名、ITV)が15日、非営利でCM放送のない公共放送局となり、同日午前零時過ぎ、ニュース、ドラマ、CMなどからなるこれまでのプログラムの放送を打ち切った。政府が任命する経営委員会が番組編成を決めるまで、タイ王室関連番組などを放送する予定だ。不要となる営業要員などを解雇し、従業員はこれまでの半分程度になるという。1991年の軍事クーデターと翌年の民主化弾圧事件を機に設立されたタイ唯一の民放は、新たな軍事政権下で短い歴史の幕を閉じた。

 タイの地上波テレビ局は全局が首相府広報局など政府機関の管理下にあり、時の権力者の要求に合わせた報道が常態化している。特に軍事政権が民主化運動を弾圧し多数の死者が出た「1992年5月事件」では、市民デモと武力弾圧の実態が報道されず、軍政の転覆後、大きな問題となった。 

 ITVはこうした官製報道への反省から設立が決まり、1996年に放送を開始した。しかし、報道中心の番組編成と巨額の事業権料を義務付けられたため経営が安定せず、下院総選挙を半年後に控えた2000年半ばに、タクシン前首相が創業した企業グループの持ち株会社シン・コーポレーションに買収された。

 タクシン政権下では、仲裁委員会の裁定という形で事業権料の大幅減額、娯楽番組枠の拡大を勝ち取ったが、2006年9月のクーデターで同政権が崩壊すると政治的な庇(ひ)護を失い、同年12月、最高裁判所に従来通りの事業権料と違約金、計1000億バーツの支払いを命じられ、未払いを理由に昨年3月、接収された。
《newsclip》