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ミャンマーのヒマラヤ

2008年1月28日(月) 16時31分(タイ時間)

 ミャンマ−に来るまでは、山に興味など全くなかった。
 
 ヤンゴンに赴任してしばらく経ったある日、顔面刺青の少数民族が住む場所に標高3,000メートルを超える山があると聞いて興味をそそられ、友人と一緒に、スニーカー履きで出かけた。途中で嵐になり、突然現れた、地図にない幅100メートルの川を、半ば壊れた橋でわたった。両足の爪がはがれ、疲労困憊したが、気分はまるっきり、冒険ごっこに夢中の子供だった。

 その後、ミャンマーの北部に東南アジアの最高峰があること、インド国境に雪山が連なっていることを知った。最短でもインド国境まで往復で2週間かかると聞き、迷った挙句、雪山見たさに会社を辞めてしまった。1日10時間歩けば1週間で行けるとは当時は知らなかったので仕方がないことだが、今では、ミャンマ−の雪山ツアーを欧米に売り歩く羽目になっている。

 インド国境の雪山の山頂から見た風景は、会社を辞めたことを納得させるに十分だった。あの風景を見たくて毎年、視察と称して山に行くようになった。都会育ちのおしゃれ(?)な私が、猿の群れが吼え、サイチョウが飛び、少数民族の猟師が毒矢で熊や鹿を狩っている山を歩き、藤で編んだだけのつり橋で川を越えるようになるとは夢にも思わなかった。



 私には何の技術もないので、出来るのはトレッキングだけ。最初の1日2日は体が動かず息が切れるが、だんだん歩けるようになり息も切れなくなってくると、自分の体が戻ってきたようで嬉しくなる。人と競争するのではなく、歩くのを諦めようとする自分と意地を張りながら1歩ずつ歩いている自分がいる。そんな私の横を、20キロの荷物を背負ってビーチサンダルや1足90円の中国製の運動靴(スニーカーと呼ぶのは気が引ける代物)を履いた少数民族のポーターが話しながら追い抜いていく。

 今は自分が自分に戻れるような貴重な時間を与えてくれ、かつては私の人生を変えてくれた、ミャンマーの山たち。

写真上:東南アジアの最高峰、カカボラジ山。標高5886メートル
写真下:Osami Goto
《newsclip》