RSS

タクシン元首相、タイに帰国

2008年2月28日(木) 09時24分(タイ時間)
【タイ】タクシン元首相が2月28日朝、香港発のタイ国際航空機でバンコクのスワンナプーム国際空港に到着し、家族、支持者らの出迎えを受けた。タクシン氏がタイに帰国するのは外遊中に起きた2006年9月の軍事クーデター後初めて。

 タクシン氏は到着後、空港の床に額ずいて帰国を喜び、特設会場に集まった支持者数千人に手を振った。その後、国有地購入に関する汚職容疑でバンコク都内の最高裁判所に出頭し、保釈金800万バーツで即時保釈された。今後出国には裁判所の許可が必要となる。
 タクシン氏は次いで、不動産会社SCアセットをめぐる証券取引法違反容疑で検察庁に出頭、100万バーツで保釈された。
 タクシン氏の妻のポジャマン氏はタクシン氏が首相在職中だった2003年に、バンコク都心に近い地下鉄沿線の土地5.3ヘクタールをタイ中央銀行の競売で取得した。落札額は市価を大きく下回る7.7億バーツだった。検察は、公的機関と現職の首相夫人の取引で汚職防止法違反に当たるとして、昨年6月にタクシン夫妻を起訴した。
 SCアセットはタクシン一族が設立、2003年にタイ証券取引所(SET)に上場したが、新規株式公開(IPO)の際にタクシン夫妻が実際の持ち株数を過少申告した疑いが持たれている。
 タクシン氏は同日午後、バンコク都内のホテルで記者会見を開き、政界に復帰する意思がないことを改めて確認した。
 タクシン氏は妻と子供3人とともに演壇に上がり、汚職容疑などを裁判で争うため帰国したと説明。過去2、3年の政治的混乱で最も被害を受けたのは国民だとして謝罪するとともに、「今まで事業や政治に全力を挙げてきたが、今年で59歳になる。今後は家族と暮らし、一般人として社会奉仕などに取り組み、タイで死にたい」と話した。
 タクシン氏は時折目に涙を浮かべつつ、平静な調子で話し終え、報道陣から拍手を受けた後、質問を受け付けずに退場した。
 タクシン一家と側近らは同日、警備上の理由でバンコクのペニンシュラ・ホテルに滞在し、翌29日午前、チュラロンコン病院に長期入院中のタイ仏教の大僧正を見舞った。移動には防弾車を使用、病院ではチューサック首相府相の出迎えを受けた。
 タクシン氏はその後ホテルをチェックアウトし、雲隠れしたが、3月6日、会長を務めるタイ・プロゴルフ協会のバンコクでの会合に出席し、数日ぶりに報道陣の前に姿を現した。
 今後、3月12日に汚職容疑の公判に被告人として出廷し、13日に渡英する予定という。タクシン氏は昨年、英サッカー、イングランド・プレミアリーグのクラブ、マンチェスター・シティを買収しており、チームの経営のため英国に戻る必要があると主張している。
 タクシン氏に対するタイ国民の支持はいまだに根強く、各種世論調査によると、支持率は4—6割に達する。しかし反対勢力も根強く、タクシン氏の政界復帰はクーデター前と同様、国論を2分する公算が大きい。
 タクシン氏はこうした状況を理解し、政界引退を強調しているもようだ。ただ、現政権の中枢は同氏の親族、側近が占め、実質的なタクシン政権という見方が強い。政界引退に関するタクシン氏の真意がどうあれ、タイの政局は今後も同氏を軸として動く見通しだ。
《newsclip》