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反タクシン派、新たなクーデター警告

2008年5月14日(水) 23時39分(タイ時間)
【タイ】反タクシン元首相団体の「民主主義のための市民同盟(PAD)」は14日、バンコク都内で記者会見を開き、タクシン派のサマック政権下でタイ王室と国家が危機に瀕(ひん)しているとする声明を発表、政府の行動は新たなクーデターを招くと警告した。

 タイ国境に近いカンボジアの山上にあるクメール時代のヒンドゥー遺跡「プレアビヒア(タイ名、カオプラウィハーン)」の世界遺産登録をカンボジア政府が目指していることを取り上げ、周辺の国境画定でカンボジア側が有利になると主張。カンボジアとの交渉で柔軟な対応を見せるタイ政府を「売国奴」と非難した。また、一部閣僚が王室に対し否定的な態度をとっていると糾弾。タクシン氏に近いチャイ下院議員の下院議長指名、憲法改正の動きなども強く批判した。

 PADはタイ経済紙大手プージャッカーン創業者のソンティ氏、多数の死者が出た1992年の民主化運動の指導者であるジャムロン元バンコク都知事(退役陸軍少将)らが率いる団体。2006年春に数万人規模の反タクシン政権街頭デモをバンコクで連続開催し、同年9月の軍事クーデターの伏線を敷いた。ジャムロン氏はタクシン派がクーデターの黒幕とみなすプレム枢密院議長が首相だった1980年代当時、首相秘書官を務めており、PADはクーデターを起こした伝統エリート勢力の別働隊という見方もある。

 サマック首相は旧貴族の家柄で伝統エリート層に属するが、クーデターには否定的。11日放送のテレビのトーク番組では、「半分はげの奴があの人に会い、この人を呼びと、政治的な混乱を起こそうとしている」と発言し、物議をかもした。プレム議長は高齢で頭髪が薄く、4月末に陸海空軍の司令官らと密談したと報じられた。

 事態のカギを握るとみられるのは軍の実権を握るアヌポン陸軍司令官だ。アヌポン氏は士官予備学校でタクシン氏と同期だったが、2006年のクーデターに深く参画し、エリート層寄りとみられる。ただ、サマック首相との関係は良好といわれ、これまでのところクーデターのうわさを常に否定している。
《newsclip》