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タイ首相 「共和制移行ありえない」

2008年6月24日(火) 00時24分(タイ時間)
【タイ】タイ上院で23日、サマック内閣の政権運営に関する審議が行われ、主に任命制上院議員から厳しい政権批判が浴びせられた。サマック首相は答弁で、タイ国王の諮問機関である枢密院との確執にまで踏み込み反論。一般的にタブー視される話題なだけに、王党派が多い上院からどよめきの声が上がった。

 タイ上院は国民参加型で作られた1997年憲法でそれまでの任命制から公選制に変わったが、2006年のクーデターでタクシン政権を追放した軍部が議席の約半数を任命制に戻したため、現在は反タクシン元首相派の拠点となっている。

 23日の審議では、タイ国境に近いカンボジア領内の山上にあるヒンドゥー遺跡「プレアビヒア(タイ側呼称、カオプラウィハーン)」の世界遺産申請についてタイ政府がカンボジアに同意したこと、王室、枢密院を批判するウェブサイトの取り締まりが進んでいないことなどが槍玉にあがった。サマック首相がタクシン元首相の代理人だという批判や景気対策、軍政が導入した憲法の改正の動きなども取り上げられた。

 サマック首相はこうした批判に対し、過去数年続く政争の底流にある政体に触れ、タイが立憲君主制から共和制に移行することはありえないと主張。さらに、国王側近のプレム枢密院議長を公の場で批判したことを自ら持ち出し、「説明すべきことがあったから言ったまで。枢密院批判を禁じる法律はない」と言い放った。

 上院での審議は同日終了し、24、25日には野党民主党が提出した閣僚不信任案の審議が下院で行われる。不信任案の標的はサマック首相、スラポン副首相兼財務相らタクシン派与党パランプラチャーチョン党(PPP)の閣僚8人で、連立与党の他の政党の閣僚は含まれていない。

 連立与党は下院議席の約3分の2を占め、不信任案可決にはPPP以外の5与党すべてが野党側に寝返ることが必要だ。可決の可能性は低いと見られるが、与党のチャートタイ党(党首、バンハーン元首相)とプアペンディン党(党首、スウィット副首相兼工業相)は不信任案審議に無条件で信任票を投じる考えがないことを示唆している。

 タイ政局の今後の可能性としては、サマック内閣の総辞職、解散総選挙、PPPを除く6党による新政権発足、クーデターなどがある。サマック首相は辞任や解散総選挙を否定しているが、王党派にも色目を使うバンハーン元首相がタクシン派とのバランスの上に立ち首相の座を狙っているといわれ、不信任案を切り抜けても、街頭デモや野党の攻勢、政権内部の策動といった内憂外患に悩まされそうだ。
《newsclip》