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外資系不動産コンサルタントから見たタイ不動産市場(1)

2008年6月27日(金) 23時23分(タイ時間)
 2006年9月の軍事クーデターなどタイの不動産市場は過去2年間に大きな波をいくつか乗り越えてきた。心配された米国発のサブプライムローン問題の影響もほとんどなかった。こうしたことから、タイ不動産市場は予想以上に「底堅かった」し、1997年の経済危機時よりかなり体力がついてきている、と言えるのではなかろうか。

 前暫定政権が統治していた間、最もマイナスの影響を受けたのはオフィス市場だ。需要動向を示す成約面積は2006年比で50%と極端な落ち込みを示し、業界では「2007年はLost Year」などと言われている。政情不安から、積極的な拡張移転を先送りしたテナントが相次いだことが主な要因だ。しかしこれは一時的なもので、今年はオフィス需要の揺り戻しで次第に回復傾向が鮮明になってくるだろうと見ている。

 一方、バンコク都心部の高層大型コンドミニアムは販売ペースが鈍化傾向にある。供給過剰感も出てきており、好立地の物件でも大型ユニット(2BR—3BR)の販売在庫が積みあがってきている。今、タイ不動産市場は、このコンドミニアム市場から減速し始めていると言えよう。

 工業団地市場においては多くの日系新規進出企業が「タイとベトナム」とを比較し、人件費の安いベトナムへ工場進出を決めるケースが急増したのは、今まで見られなかった傾向であった。中国は別格として東南アジア域内においてベトナムという強敵が現れた。

【タイ不動産市場で気になった動向】
*タイの不動産投資信託(REIT)市場には現在16銘柄が上場しているが、買い手不在から売買数は低水準で推移している。
*香港やシンガポールのコンドミニアムの価格に比べ、バンコクのコンドミニアムはまだ割安という判断から、外国人による旺盛な購入需要が都心部の好立地にある利回り物件や、チャオプラヤ川周辺のリバーサイド物件に向かった。
*当地のコンドミニアム法(外国人が購入可能な枠は建物全体の延べ床面積の49%以下までと定められている)が物件の再販を困難にするなど、二次流通市場を低迷させている要因になってきている。
*「グリーンインベストメント」と呼ばれる環境に配慮したコンドミニアムがタイに初めて登場した。パタヤの91階建ての高層コンドミニアム「Ocean One」は水のリサイクルシステムを採用、チャオプラヤ川沿いの「The River」は水冷の空調を採用している。
*バンコクの高級コンドミニアムの中でも、St.Regis, Sukhothai, Banyan Tree, The Metの4物件が超高級ブランドとして認識されている。
*プーケット、サムイ、パタヤ、フアヒンなどのリゾート・コンドミニアムが急成長し、タイの高級コンドミニアム市場全体の売り上げの3割を占めるに至った。
*タイのリゾート市場が急拡大し、中でもプーケット島の不動産が堅調。海を眺める高級戸建住宅・コンドミニアムが、日本人を除く世界の富豪の中で人気を集め、プーケットは今高級リゾートとして急速に変貌している。
*昨年アマタ工業団地が販売した土地総面積は1270ライ(1ライ=1600平方メートル)、そしてヘマラート工業団地は1700ライと非常に好調だった。
*タイ政府が、新設コンドミニアムの建ぺい率や汚水の問題など環境問題の基準(Environment Impact Assessment)を厳格化しているので、デベロッパーにとってはこれが開発コスト負担増となっている。
《newsclip》