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外資系不動産コンサルタントから見たタイ不動産市場(3)

2008年8月8日(金) 10時43分(タイ時間)
ジョーンズ・ラング・ラサール
来住幸典(きしゆきのり)氏

 2007年のバンコクのコンドミニアム着工戸数は8150戸で、1997年の経済危機以来最高の供給戸数を更新、バンコク全体のストック(総供給戸数)は5万9350戸へ増加した。昨年着工された新設物件の半数以上を高級物件が占め、スクムビット通り、そしてパホンヨーティン通り周辺に供給が集中した。07年上半期の販売戸数は7090戸と高水準で推移し、成約率も06年の74.3%から78.3%へと4ポイント上昇した。

 パホンヨーティン通りとラプラオ通り周辺のいくつかの物件は販売開始後1週間で完売した。これらの地域は高架電車BTSや現在工事が進んでいる鉄道空港線(エアポートリンク)の延伸が予定されている路線へのアクセスが良好なことが好感されたようだ。

 新設物件の平均販売価格(平米単価)は前年比で12.6%上昇し9万1500バーツ。販売価格をエリアごとにみると、1)バンコク都心部の北部:7万1800バーツ(前年比15.9%上昇)、2)都心部:11万2500バーツ、3)スクムビット通り周辺:9万6200バーツ——と、前年比12—13%の伸びを示し、いずれのエリアも高水準で推移している。都心部の好立地に位置するグレードの高いコンドミニアムの平米当たりの販売単価は10万バーツ以上というのが今や当たり前になってきている。

 デベロッパーによる土地取得コストや建築コストの上昇が販売価格を押し上げる要因になっている。都心部のスクムビットなどの土地物件は建物の容積率が1000パーセント確保できる場合で4平米当たりの土地の取引価格が40万—50万バーツに高騰、過去2年間でコンドミニアム用地の価格が約20—30%上昇している。

 コンドミニアム開発業者の間では今、南サトーン通りのスコータイ・ホテルの裏にある「スコータイ・レジデンス」や「THE MET」が注目を集めている。市場で最高値を維持しているためで、スコータイ・レジデンスのペントハウスの販売価格がタイ史上初めて30万バーツ(平米単価)を超えたニュースが市場を駆け巡った。しかし購入者の中には期待賃料が高いため、借主が見つからず、10%前後の投資利回りが確保できず困っている人が増加している。つまりコンドミニアムの売価の上昇に賃料利回りが追いついていない現状がある。この状況は二次流通性(物権の再販能力)を低下させるので、流動性が低くなり、ここからコンドミニアム市場が下振れするリスクが広がっている。

 タイ住宅開発大手センシリ、ランドアンドハウス、アジアンプロパティ(AP)社の3社が開発を手掛ける住宅は信頼が高く根強い人気があり、早期に完売するケースが多い。特にセンシリの物件は欧米人バイヤーの間で絶大な信頼があるようだ。センシリやAPは富裕層向け、中流層向け、単身者向けとマーケットセグメントごとに幾つかの自社ブランドを開発、自社物件の中で差別化を図るなど、新しい販売戦略で市場に打って出ている。

 今後、土地取得や建築コストが上昇する中、金融機関からの借り入れが厳しくなることから、信用力に乏しい中小デベロッパーは次第に淘汰されていくであろう。外国人の間では、チャオプラヤ川周辺のリバーサイドの物件に根強い人気があるが、タイ人の需要は弱いので、この地域での中古物件の売買は容易ではない。
《newsclip》


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