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外資系不動産コンサルタントから見たタイ不動産市場(4)

2008年8月8日(金) 10時43分(タイ時間)
ジョーンズ・ラング・ラサール
来住幸典(きしゆきのり)氏

 2007年のバンコクのオフィス成約面積は10万2200平米と低迷、06年比で51%も下落した。民主政権発足後はある程度政情が安定しオフィス需要が戻ってくるというのが業界の大方の予想だ。過去2—3年に竣工した大型新築ビルQ-House Lumpini、Exchange Tower、The Office at Central Worldの入居率は80%以上で、新規の成約賃料も高水準で推移し、市場に明るさを提供している。数年ぶりに更地からオフィスビルの開発が始まった南サトーン通りのAsia Center、ラチャダ通りのParkinビル(この2つの物件は工事中)、ワイヤレス通りAthnee Towerの入居状況に注目が集まるが、竣工前まだ入居率は1割にも達しておらず、今の所、苦戦を強いられている。

 空室率は06年末の12.9%から13.6%へ0.7ポイント上昇した。都心部の既存大型新築ビル(グレードA)の平米当りの平均賃料は06年の660バーツから656バーツへわずかながらも5年ぶりに下落した。このように空室率が上昇し既存大型ビルの賃料が下落したのは、昨年の政情不安による急激な需要の落ち込みと都心部に新規供給があったためと考えられる。 

 アソーク、エカマイ通りの既存中小ビル(グレードB)、Sermitr Tower、K-Tower、Sino-Thaiビル、Sorachaiビルの賃料が06年比で30—40%と急上昇したため、郊外の安いビルへと移転したテナントも少なくなかった。アソーク通り周辺の賃料は1997年の経済危機以来、長年にわたって低迷、200—300バーツ前半の低賃料で入居していたテナントが多い地域であったが、地下鉄の開通で飛躍的に利便性が改善されたことから、更改賃料、新規募集賃料、全ての局面で賃料の底上げが急速に進んだ。またテナントの賃料改定交渉では値上げ要請が通りやすくなっており、賃料を上げることへのテナント側の抵抗は過去10年間の中では最も薄らいでいるようだ。

 今年は57万平米もの大量供給が予定されおり、その内、46万平米をチェンワタナの新政府官庁ビルが占める。またラマ4世通りチュラロンコーン大学敷地に隣接するChamchuri Square(8万9000平米)がいよいよ年内に竣工する。このビルの開発は93年日本のJAIDO(国際協力機構)とタイ農民銀行(現在のカシコン銀行)の合弁で始まったが、開発は途中で頓挫、その後開発主が変わり、14年の歳月をかけてようやく開業を迎える運びとなった。ラチャダ地区においては、Pakinビル、そしてCyberWorldビルの2棟が竣工する予定だったが、Cyberworldは年初に起こったビル火災により、開業が大幅に遅れる見込みである。今年予定されている供給により、空室率は再び上昇し始め賃料が若干下振れするリスクも出てきているが、深刻な落ち込みはないと予測している。
《newsclip》


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