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〈インタビュー〉 タイ映画の巨匠、チャートリーチャルーム監督

2008年10月12日(日) 10時21分(タイ時間)
映画監督 チャートリーチャルーム・ユコン殿下(65)
M.C.Chatrichalerm Yukol, Director of Prommitr Production Co.,Ltd.
プロムミット・プロダクション

 通称「タン・ムイ(ムイ殿下)」。ラワイ・プロダクションを創設してタイ映画黎明期を支えたアヌソーンモンコンカーン親王とウボン夫人の間に1942年に生まれる。豪ジーロン・グラマースクールで高等教育を受け、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校で地質学と映画を学ぶ。16歳でテレビドラマの脚本・監督を務めたことがある。プロムミット・プロダクションを設立して本格的にテレビドラマを製作。映画監督デビューは1971年の「マン・マー・ガップ・クワーム・ムート(Out of the Darkness)」。1973年に製作した「カオ・チュー・カーン(その名はカーン)」で最優秀監督賞を受賞し、俳優ソーンポン・チャートリーを一躍スターダムに押し上げた。また「ガーム(Karma)」(1978年)はアセアン映画祭で最優秀脚本賞に、「トーンプーン・コークポー・ラーサドーン・テム・カン(Taxi Driver)」(1977年)は仏カンヌ国際映画祭で優秀作品20本に選ばれるなど、これまでに映画祭で19の賞を獲得。また、監督自身は独ベルリン国際映画祭の審査員を務めたことがある。その他の主な作品は「スリヨータイ」(2002年)、「キング・ナレスワン 第1部/第2部」(2007年)、「ヘロイン(Powder Road)」(1994年)、「シアダーイ(Daughter)」(1994年)など。趣味はダイビング。

——現在のタイ映画産業をどのように見ておられますか?

  撮影や編集技術、脚本やキャストなど、映画製作新世代は旧世代より良いものを持っていると思います。しかし、タイ映画を外国で上映するとなると、使用言語の問題があります。「トムヤムクン」のようなアクション映画は言葉を理解できない外国人にも分かりやすいのですが、「キング・ナレスワン」のような歴史物になると、タイ王国史を知らない外国人が観たら字幕があってもストーリーについて行けないでしょう。いずれにしても、私は「ナレスワン」をコンパクトに編集し直し、英語字幕を付けてまで輸出するつもりはありません。そうすると王国史を正しく伝えることができなくなりますし、第1部、第2部の国内上映で興行的に成功しましたから。

——注目している若手監督は?

 アピチャートポン・ウィーラセータクンとペンエーク・ラタナルアンです。

——タイが東南アジアの映画大国になることは可能だと思われますか?

 不可能なはずがありません。政府が真剣に映画産業を支援する気になれば、ですが。タイにはロケ地やスタジオ、設備、そして優秀な人材がそろっています。しかし、まだ照明や美術など、映画製作に必要な技術者を育てる教育機関がありません。大学の映画科では監督業ばかりを推奨していて、照明や衣装デザイ ン、美術などの技術者育成を度外視しています。私の会社(プロムミット・プロダクション)では、例えば照明係は日当で3000バーツから5000バーツという好待遇を受けていますが、これは映画製作会社が求める高い照明技術と知識を持っているからです。皆が監督になりたがったところで、映画会社が起用する監督の数はたかが知れています。この点を考慮してもらいたいですね。

 政府には映画製作に関する教育機関の設立や機材持ち込みに対する減税、有望な新人プロデューサーへの援助金支給などを望みます。また、国策として映画産業を促進するために政府系の映画館も必要です。民間は外国映画など興行成績を上げられそうな作品しか上映しませんから。

——外国映画のロケ地としてタイを使うメリットは?

 充分な土地と最先端の設備、そして有能な人材がそろっていることです。

——現在のタイ映画と韓国映画について

 韓国政府は国産映画が世界に普及するよう支援していますから、うらやましい限りです。製作費や俳優の演技指導などに援助金が支給される上に、スクリーンクォータ制を敷いて自国の映画上映を義務づけています。映画やドラマは韓国の文化を世界に広めるという役割も果たしています。タイでも「チャングム」の人気で、キムチを食べるタイ人が増えました。

——「キング・ナレスワン第3部」の製作の進展具合は?

 撮影は9割を終えました。しかし残りの1割はナレスワン大王とビルマ軍との戦いにまつわる重要なシーンばかりで、1日に2カットしか進みません。王国史を忠実に伝えるために慎重を期しているからです。封切りは予定通り12月です。

——撮影のない時間はどうやって過ごしていますか?

 DVDで映画鑑賞です。国内外の作品を1日2本ずつ観ます。今は撮影中の「ナレスワン」をVCDでチェックし、編集について検討しています。そのほかに、次作「ペット・プラ・ウマー」の準備を進めています。作中には様々なジャングルの動物や昔のアイテム(猟銃やカメラ、タバコのパッケージなど)が登場するので、作家の描写に忠実にCGで描いてみています。

 「ペット・プラ・ウマー」は作家パノムティアンが25年かけて完成させた48巻からなる大長編・冒険物語です。「ナレスワン」同様、3部に分けて、私が69歳、72歳、74歳になったらそれぞれ公開する予定です。製作予算は1部当たり2億バーツです。

  私は映画製作の際に、興行収入や製作費といった数字的なことは考えません。大切なのは製作費が作品の質に反映されているかどうかです。よい作品を作るためには莫大なコストも必要です。政府が製作費を援助し、必要な知識と技術を持った人材を育て、自国映画の上映を義務づければ、タイ映画産業はさらに発展する でしょう。

——ありがとうございました

Prommitr Production Co.,Ltd.
52/25 Moo 13 Krungthep-Kreetha Road, Spansung, Bangkok 10250
Tel: (662) 736-2300-3 Fax: (662) 736-2304
E-mail : chatricy@mozart.inet.co.th
《newsclip》


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