RSS

タイ空港占拠のPAD、「新政治党」設立へ

2009年6月2日(火) 18時03分(タイ時間)
【タイ】反タクシン元首相派団体「民主主義のための市民同盟(PAD)」は2日の幹部会で、設立を予定している政党の名称を「新政治党(ニュー・ポリティクス・パーティー=NPSP)」とすることを決め、暫定党首にPAD幹部のソムサック・コーサイスク氏、暫定幹事長にPADコーディネーターのスリヤサイ・カタシラー氏、報道官にプラティープ・チューンアーロム退役海軍中将を選出した。新党のシンボルカラーはプミポン国王の誕生日の色である黄色と「環境」「清潔な政治」を意味するという緑。

 PAD創設者で大手経済紙プージャッカーン創業者のソンティ・リムトーンクン氏は党首就任を見送った。ソンティ氏はタクシン政権(2001—2006年)の中枢に自らの人脈から人材多数を送り込むなどタクシン氏と密接な関係にあったが、2005年に突如、反タクシン派に転じ、PADを設立。街頭デモや空港占拠といった反タクシン派活動を指揮し、PAD支持者の間では絶大な人気がある。しかし、今年4月に銃撃を受け負傷した上、2000年に破産宣告を受けたため、政党党首となる資格を満たしているかどうか不透明だった。

 PADは「王室に対し不敬で、縁故主義、汚職がまん延したタクシン・システムの追放」を掲げ、2006年春に数万人規模の街頭デモをバンコクで連続開催し、タクシン政権を追放した同年9月の軍事クーデターの呼び水となった。タクシン派が選挙で政権に復帰した2008年に活動を再開し、首相官邸にあたるタイ首相府を長期間占拠。同年10月、警官隊との衝突で死亡したPAD支持者の女性の葬儀をシリキット・タイ王妃が主宰したことから、王室の支持を受けていると主張した。同年11、12月にはバンコクのスワンナプーム空港とドンムアン空港を占拠。空港占拠中にタクシン派与党が選挙違反で解党され、政権が野党の民主党に移ったことから、現在は活動を休止している。

 PADは数カ月にわたりデモ参加者数千人の衣食住を賄うなど資金が潤沢。不法占拠やメンバーによる殺人などの事件を引き起こしたが、幹部を訴追する動きは鈍く、司法への影響力も指摘される。政治的には国会議員の多くを任命制にするよう提案し、反民主的として物議をかもした。こうした経緯、主張から、タクシン氏の台頭と民選政権による政治を嫌う伝統的な権力層、タクシン氏に私怨を抱く一部財閥、王党派市民らの寄り合い所帯とみられている。
 
 民主党政権発足後は伝統権力層、財閥から「用済み」とされた形で、タクシン派追放の前線で働いたにも関わらず、新政権入りしたPAD幹部は旧貴族の家柄で駐米・駐日大使などを歴任したカシット外相のみだった。PADの幹部や一般の支持者はこうした扱いに不満を強め、政党設立に踏み切ったもようだ。

〈ソムサック・コーサイスク〉
1945年、南部ナコンシータマラート県生まれ。タイ国鉄労働連合会長など国営企業の労組活動に従事し、タクシン政権(2001—2006年)の国営企業民営化に反対した。


〈スリヤサイ・カタシラー〉
1972年、東北部シーサケート県生まれ。タイ国立カセサート大学教育学部卒、タイ国立タマサート大学政治行政学修士。学生運動を経て、民主化要求団体幹部。
《newsclip》


新着PR情報