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タイの空港占拠事件、外相らに出頭命令

2009年7月5日(日) 22時06分(タイ時間)
【タイ】タクシン派政権の追放を掲げる市民団体「民主主義のための市民同盟(PAD)」が昨年11月25日から12月3日にかけバンコク郊外のスワンナプーム国際空港とドンムアン空港(旧バンコク国際空港)を占拠した事件で、タイ警察は5日、カシット外相、PAD幹部で実業家のソンティ氏、ジャムロン元バンコク都知事ら36人に対し、テロ容疑などの取り調べのため出頭命令を出した。2空港占拠でタイの空路は10日間にわたり麻ひし、観光、貿易などに3000億バーツ近い損害を与えたとされる。ただ、昨年末に反タクシン派政権が発足した影響からか、事件から半年で出頭命令と捜査の進展は極めて遅い。

 カシット氏は6日に警察に出頭し、容疑を否認した。タクシン派の野党プアタイが要求している外相辞任も拒否。アピシット首相も外相を解任しない考えを示している。カシット氏は占拠中の空港で演説し、カンボジアのフン・セン首相を「ならず者」と呼んだほか、外相就任直前に「空港占拠は非常に楽しかった」と発言し、物議をかもした。

 一方、PAD幹部で36人のうちの1人であるスリヤサイ新政治党幹事長は「空港占拠は憲法で認められた権利を行使した集会だ」として、警察がテロ容疑で立件を目指していることを批判した。

 PADはタクシン政権当時(2001—2006年)の2005年にソンティ氏が設立した。タクシン氏の王室への不敬、汚職疑惑などを追及し、2006年に数万人規模の街頭デモをバンコクで連続開催、政治機能を麻ひさせ、同年9月の軍事クーデターによるタクシン政権追放を呼び込んだ。2007年末の総選挙でタクシン派が政権に復帰したことから活動を再開し、2008年8月から年末まで首相官邸にあたるタイ首相府を数千人で占拠。11月下旬からはバンコクの2空港も占拠し、タイの空路交通を遮断した。空港占拠中に憲法裁判所がタクシン派与党を解党、政権が野党民主党に移ったことから活動を停止したが、6月に新政治党を政党登録し、表舞台への復帰に動き始めている。

 PADはタクシン氏の権力拡大を危ぐした伝統的な権力層、民営化を嫌う国営企業労組、タクシン氏に私怨を抱く実業家らの寄り合い所帯とみられる。タイ王室の支持を受けていると主張し、シンボルカラーはプミポン国王の誕生日の色である黄色。昨年10月にPADのデモ隊が国会議事堂周辺で警官隊と衝突し、メンバーの女性が死亡した際には、シリキット王妃が葬儀を主宰した。

〈カシット・ピロム〉
1944年生まれ。米ジョージタウン大学国際学部卒。オランダ国立社会科学研究所修士。駐ロ、駐独、駐日、駐米大使を歴任。
《newsclip》


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