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〈インタビュー〉 サイアムキリンビバレッジ

2009年7月15日(水) 22時19分(タイ時間)

SIAM KIRIN BEVERAGE CO., LTD.
岩尾 英之 氏 (President)

——タイ進出の時期とタイのお茶市場についてお聞かせください

 弊社は2005年5月設立、1年後の2006年5月にタイで最初の製品となる「生茶」を発売しました。タイは中国(上海、北京、広州)に続く海外拠点で、中国同様に現地製造に乗り出しています。

 日本は少子高齢化などの影響で、飲料市場全体が将来、縮小すると予想されます。海外に目を向ける動きはどのメーカーも同じで、弊社グループも海外各国の市場参入への障壁・ブランドビジネスの成熟度などを模索する中で、アジア・オセアニア地域への進出を狙っていました。

 有価飲料は「し好品」に分類されます。人口が多く、GDP(国内総生産)がそこそこ高く、流通が発達していなければ、飲料のような消費財でのブランドビジネスは成り立ちません。例えば、ベトナムへの進出を検討した時期がありましたが、当時はスーパーやコンビニなどが少なく、流通面で不安が残っていました。

 事業化調査を行っていた2004年後半から2005年前半にかけてのタイは、タイ、日本、台湾のブランド製品が続々と投入されていた、緑茶ブームの絶頂期でした。弊社もそのようなブームに乗り、日本の半分に達する人口、充実したスーパーやコンビニといった流通の発達などを好条件とし、日本で2000年に発売した「生茶」の投入となりました。

——立ち上げ時に苦労した点などは?

 生茶は弊社グループとして初めてのタイ参入で、いわばコネなしの状態でした。何事においても最初は大変であることは当然ですが、製造委託先、販売委託先の探索や、消費者のし好実態の把握から第一弾の商品開発などが苦労した点でしょうか。

 立ち上げ当時は営業活動の全てを地場大手企業に任せていましたが、現在ではコンビニのセブンイレブンやディスカウントストアのテスコ・ロータスなど、直接販売に乗り出しており、独自の販売網を築きつつあります。

——最近はさすがに、緑茶ブームは落ち着いているようですが?

 「緑茶市場」はそれまでの急激な伸びに対し、2006年以降は横ばいで落ち着いています。ただ緑茶以外の紅茶などを含めた「お茶市場」全体では、毎年15%増で右肩上がりです。今年は世界的な不況のあおりで少なからず勢いが衰えるでしょうが、長い目で見れば今後も市場拡大が見込めます。

 とはいえ、緑茶がお茶市場を占める割合は65%に達しており、タイでの緑茶の人気は相当なものです。ちなみに緑茶で見た場合、弊社の生茶は3位を維持しています。

——今回「午後の紅茶」をタイで発売されましたが?

 緑茶以外のお茶の需要が順調に伸びていることから、3月に午後の紅茶を「Tea Break」として発売しました。日本では1986年発売、キリンビバレッジでのブランド別売り上げトップ、日本国内の紅茶カテゴリーでも22年間トップを誇ります。

 日本同様ストレートティー、レモンティー、ミルクティーの3種類で、440ミリリットルで価格は18バーツ、ミルクティーのみ20バーツです。タイで売り出されるソフトドリンク、特にペットボトルのお茶・コーヒー類は20バーツがお手ごろ、それ以上だと割高で手に取りにくい、という感じのようです。

 ちなみに中国・上海では2002年の生茶発売より早い2001年に午後の紅茶を投入、特にミルクティーが好調です。

——タイということで日本より甘さを感じますが?

 どのメーカーもシュガーフリーといった無糖をラインアップに加えているので、「健康志向の向上で甘さ控えめ」の傾向は確かにあるとは思いますが、タイはやはり甘さが求められる市場、というのが実感値です。常夏の国なので、甘いものが求められるのはいたって普通のことです。また、屋台などの料理に好みで砂糖を加えるといった食生活を見ると、糖分の摂取と共に、「自分の味」へのこだわりを感じます。

 弊社も2007年以降、無糖の生茶を販売していますが、需要はむしろタイ在住の日本人の方々に集中しているようです。中国でも有糖の生茶を販売しており、根強い人気です。同じお茶でもペットボトルや缶に入った有価飲料のお茶にもとめられるものは、家でいれるお茶とは違うということでしょう。

——タイ市場向けと理解しつつも、日本と同じ味を求める日本人もいますが?

 日本と同じ味を望まれる、タイ在住の日本人のご要望はもっともです。日本でのオリジナルの味を変えずに海外で事業展開することをブランドアイデンティティーと定義するメーカーさんもあります。一方、弊社はどの国でもブランドコンセプトを共有することでブランドアイデンティティーを保ち、その国の人々のし好にあった味覚にアジャストを続けています。我々の使命は、日本で多くの方に支持されているブランドを、如何に海外でも多くの方に愛され楽しんでいただけるかです。

 ただ、日本人のお客様を意識したわけではないのですが、午後の紅茶に関しては生茶の発売当時のような日本とタイの味のギャップは少なく、日本人の方々に受け入れられやすくなっており、実際に好評を得ております。

——今後の事業展開について

 生茶や午後の紅茶は若い世代をターゲットとしたし好品であるため、今のところ不況の影響をさほど受けずに済んでいますが、本年度に限ってはあおりを受け、市場の成長は一時的に停滞するとにらんでおります。来年以降は再び市場が成長すると予測、弊社も市場の伸び以上に伸張すべく、まい進していく所存です。また、流行やし好に合わせるだけでなく、新しい飲料文化を自ら築いていくこともメーカーの義務であり、実現を目指します。

——ありがとうございました
《newsclip》


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