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タイで視覚障害者に医療マッサージ教育 日本財団

2009年8月27日(木) 18時11分(タイ時間)
日本財団 国際協力グループ・BHN(ベーシック・ヒューマン・ニーズ)チーム
千葉 寿夫 氏

——タイでの取り組みについてお聞かせください

 タイの視覚障害者の方々に、医療マッサージの技術を習得、社会で幅広く活躍をしてもらうという、人材育成支援です。バンコク都内で去る8月18—20日、タイ盲人連合(Thai Blind Union)と筑波技術大学AMIN推進委員会の主催、日本財団の企画助成により、「医療マッサージセミナー」が開催されました。

 AMINはAsia Medical Massage Instructors Networkという、アジア諸国の視覚障害者が医療マッサージの分野で専門技術者として働いていくための、環境整備および人材サポートを行う日本財団の助成事業です。

——セミナーの内容は?

 タイ側からは視覚障害者、タイ保険省および関係各省の担当者、タイ医療マッサージ教育関係者および医療機関関係者など80名、日本側からは全盲の盲学校教員ら4人が参加。日本の視覚障害者教育の歴史と現状や、国家試験制度の紹介と取得後の就業状況の説明から始まり、基礎医学の授業と診察の実技をこなし、タイ盲人マッサージ師の可能性と地位向上について意見を交換しました。

 日本側主催の筑波技術大学の鍼灸学教授で日本理療科教員連盟の会長を務める緒方昭広医学博士は、タイ政府の積極的な取り組みと、セミナーに参加した視覚障害者の熱心さを評価。全体としては、タイ保健省、タイ盲人連合、そして日本財団の方向性の一致を確認できたということで、セミナー開催の意義があったと思っています。

——タイの視覚障害者の職業について

 タイでは宝くじ売り、道端での音楽演奏などで、目の悪い方をよく見かけると思います。アジア地域ではマッサージ(あんま)師が視覚障害者の職業のトップで、タイでも4000人がマッサージの職に就いています。

 タイの視覚障害者に対するマッサージ教育は現在、タイ盲人連合内の盲人能力開発センターや盲人女性職業センター、タイ盲人雇用促進財団、コーフィールド財団で行っています。

——「タイ=伝統マッサージ」というイメージがありますが?

 街中のマッサージ店で受けるマッサージはリラクゼーションで、医療マッサージとは別です。今回の視覚障害者への医療マッサージ教育も、タイはマッサージで有名な国だから、という結びつきではありません。これまでの伝統医療法の「資格を含む障害者の免許取得を禁止」するという条項が、2007年に撤廃されたことがきっかけです。タイの障害者はこれまで、国家試験を受けることができずにいました。

——現在の免許制度というのは?

 省によって異なります。労働省では初級、中級、上級に分かれる「タイマッサージの技能試験」を実施しており、視覚障害者は初級300人以上、中級100人以上が合格しています。上級はこれまで合格者がいません。また、文部省では「タイ方医師」の国家試験に合格すると、マッサージ、産後ケア、伝統医学、薬学での診察が可能となります。言い換えれば、タイ医療マッサージを施術できるのは、タイ方医師のみとなります。

 今回、保健省が「タイ式医療マッサージ師国家試験要綱」を発表し、医療マッサージ師の資格制度の確立を目指しています。今後、視覚障害者の国家資格者が出てくることでしょう。

——障害者のために健常者がすべきことは?

 障害者にとって、社会には多くのバリアーが立ちはだかっています。情報の欠如、法の不備、交通・環境の未整備、そして心です。健常者の義務はまず、心のバリアーを取り除くといったことでしょう。

 世界では10人に1人が何らかの障害を抱えているといわれています。遺伝、生まれつきにとどまらず、事故による不随、ばい菌による失明と、障害は決して特別なことではありません。

 タイの障害者数は統計上1.8%と聞いており、正確に把握できていないように感じます。障害者の方々は外に出られない状況に置かれやすく、多くの途上国では「障害者の方はいませんか」と尋ねて回るのも、障害者団体の仕事の一部です。ただ、タイ人は障害者に対して、「非常に優しい」という印象を受けています。

——今回の目標は?

 タイ政府が2年後をメドに視覚障害者向けの試験を実施すると発表しています。そのときになるべく多くの視覚障害者が資格を取得できるよう、支援を行っていきます。緒方博士も、タイのより多くの視覚障害者が自立し、マッサージをとおして医療現場で活躍してもらいたいとコメントを述べています。

 日本ではあんま・マッサージ・指圧だけでなく、鍼(はり)、灸を含めた理療が一般的で、それぞれの頭文字を取って「あはき師」と呼びます。タイでもいずれは、日本のはりと灸の技術を取り入れてもらえればと思っています。このような支援をタイで成功させ、それをステップにほかの国でも同様の事業を展開していけるようがんばります。

——ありがとうございました

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