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タイ深南部騒乱 組織幹部に独占インタビュー

2009年11月6日(金) 10時21分(タイ時間)
パタニー統一解放機構(PULO)
Col. Kasturi Mahkota
Vice President, Chief of Foreign Affairs Department

 マレー半島の中ほどに位置し、アユタヤ時代からタイの侵略を受けてきたパタニー王国。数百年も続く独立運動で、近年はいわゆるテロ組織と呼ばれる分離独立派組織が闘争を繰り広げている。その中でもパタニー統一解放機構(PULO)は1968年の創設の、内外に最も知られた組織だ。今回、指導者の1人で渉外を担当するカストゥリ・マフコタ氏に接触、組織の活動内容と主張を聞くことに成功した。

——独立を主張する地域は?

 マレー系民族が居住する地域で、広義ではナコンシータマラート以南を指す。現在、パタニーの地として現在独立を求めているのは、パッタニー*、ヤラー、ナラティワートの深南部3県と北隣ソンクラー県の4郡としている。

 我々は「分離独立のテロ組織」と呼ばれているが、我々はタイの侵略によって失われたパタニーの地、そこに住むマレー系住民の権利を主張しているだけだ。歴史的な事実に基づけば、我々の主張は当然のものだ。

——宗教闘争と受け取られやすいが?

 確かにマレー系民族のほとんどはイスラム教徒だが、全員ではない。我々は宗教のためにタイ仏教徒と戦っているのではなく、タイが奪ったものを取り戻そうとしているだけだ。軍のトップや閣僚にイスラム教徒を祭り上げたところで、我々との交渉が有利になるわけではない。

 よって、タイ政府の主張やメディアが報道しているような、国際的なイスラム組織とのいかなる関係も持っていない。具体的な場所や方法は明かせないものの、我々は独自で訓練を積み、実行し、それに見合う成果を生んでいると自負している。

——資金源は?

 海外のいかなる組織とも関係を持たないので、資金も自己調達だ。多くは語れないが、パタニーの地にある37郡全てと海外100カ所の計137カ所に、資金調達の部署を展開している。

 武器に関しては、我々が使用している実物を見れば分かるとおり、調達はタイの治安部隊からだ。襲撃による奪取だけでなく、交渉による売買もある。タイの軍や警察がいかに腐敗しているかを理解できるはずだ。

——組織の規模や国内の他の組織との共闘は?

 以前は大規模な戦闘部隊を抱えユニフォームなどもそろえていたが、今はもうない。戦闘員はパタニーの地に住むマレー系の住民だからだ。その意味では、パタニーの地の住民全員がシンパであるといえよう。

 国内では他の組織との共闘は当然ある。現在活発な闘争を続けているのは、パタニー・マレー民族革命戦線(BRN)、パタニー・イスラム解放戦線(BIPP)などだ。

 PULOは新旧あるといわれているが、今は再び統合している。タイの治安部隊は最近、テロ組織の総称として「RKK」という名を使っているが、実際には一組織で我々を含まない。以前はブルサトゥといういくつかの組織を統合する機関があったが、今はブルサトゥ自体が一組織となっている。また、武力闘争のみを続けていると思われがちだが、特にPULOは政治的な交渉も行っている。

——交渉相手としてのタイ政府をどうとらえているか?

 2004年からテロが激化、すなわち我々の闘争が活発になったと伝えられるが、闘争は過去何十年にも渡って続いてきたことであり、最近始まったものではない。政府はこれまで報道統制でニュースが流れるのを抑えてきたが、現在はIT(情報技術)の発展などで隠し続けられなくなり、深南部の情勢が急速に知られるようになっただけの話だ。

 その意味でいえば、タイで長い間政権を担ってきた民主党に対しては、注意が必要だ。民主党の地盤が南部であるため、タクシン元首相と比較して有利な立場を得ていると思われがちだが、情報を操作し自らテロに加担する彼らは、我々にとって危険な存在だ。

 王制については何ら否定するところはない。タイ人のための国王であり、我々の主張に対して何ら障害をもたらすことは無いからだ。

——タイ政府との接触はあるのか?

 もちろんある。クーデター後の暫定政権時のスラユット首相(当時)とは、2007年にバーレーンで会っている。それ以前の、2006年大晦日から2007年元旦にかけてのバンコクでの爆弾騒ぎでも、事件関与の確認でタイ政府から問い合わせがあった。

 この爆弾騒ぎでは無関与の声明を出している。我々の主張はあくまでもパタニーの地を取り戻すことであり、バンコクでのテロ行為は不要だからだ。

——独立の可能性は?

 ハードルは高くいないと信じている。これまで他の組織の支援を受けずに、我々だけで戦い抜いてきた。今後も闘争を続けていく。それが独立なのか、自治なのか、その名称にはこだわらない。パタニーの地とそこに住むマレー系住民の権利を取り戻すことが目標だ。

 小さな地だが、財源はいくらでもある。沖で採掘される天然ガスをパイプラインでマレーシアに送ることができるし、農産物では輸出産業の天然ゴムが豊富だ。タイはこのような利権を手放したくないのだ。

 目的を達成した暁には、この地に「パタニー・ダルサラーム」の名が付くだろう。タイ政府によって改名された土地の名も、マレーの名に戻ることになる。

〈カストゥリ・マフコタ氏〉
 タイ深南部ナラティワート県生まれ。16歳のときにシリアへ渡り、7年間過ごす。このとき同志と共にPULOを創設。その後はスウェーデンに渡って国籍を取得、PULOの活動を海外より指導する。

〈タイ深南部〉
 ヤラー、ナラティワート、パタニー、ソンクラーのタイ深南部4県にはもともとイスラム教徒の小王国があったが、約100年前にタイに併合された。現在も住民の大半はマレー語方言を話すイスラム教徒で、タイ語、仏教が中心のタイでは異質な地域となっている。イスラム教徒住民の一部は断続的にタイからの独立運動を続け、2001年に武装テロを開始。以来、イスラム教徒、仏教徒の双方の住民、兵士、警官ら3000人以上が銃撃、爆破などで死亡した。イスラム教徒側の死者も多く、治安当局者による超法規的処刑、報復テロなども疑われている。

* パッタニー(Pattani)はタイ政府が名付けた県名で、PULOなどの分離独立派組織はパタニー(Patani)と別扱いする。
《newsclip》


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