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〈タイの医療事情〉 いびきはなぜ起こる?

2011年4月29日(金) 16時32分(タイ時間)

ナリチャー・ジラカラワサン医師
Naricha Chirakalwasan, M.D.
Department of Internal Medicine

 チュラロンコン大学医学部(優等学位)卒業後、米国の内科学会/呼吸器学会/集中治療医学会/睡眠医学会認定専門医の資格を取得。専門は総合内科、呼吸器疾患、救急医療、睡眠障害。診察時の使用言語はタイ語・英語。


——いびきはどうして起こるのでしょうか。

 通常、気道は上気道拡張筋によって、睡眠時も呼吸するのに必要なスペースが確保されています。しかし加齢による筋力低下や肥満による軟口蓋、口蓋垂、舌の肥大化によって、上気道(鼻から喉頭までの気道)は狭められてしまい、呼吸によってわずかな隙間を通った空気がこれらの器官を振動させ音を出します。これがいびきです。

——どんな人がいびきをかきやすいですか?

 いびきは40歳以上の男性と閉経した女性に多くみられることから、女性ホルモンと加齢に関係があると考えられています。

 また、肥満の方は非肥満の方に比べていびきをかきやすいのですが、非肥満の方でもあごが小さい、あごが引っ込んでいるなど、頭蓋・顔面の奇形によって気道閉塞が起こりやすくなります。気道閉塞は低呼吸だけでなく、無呼吸を引き起こす大変危険な状態です。これを閉塞性睡眠時無呼吸症候群といいます。

——いびきは全て無呼吸になるのでしょうか。

 いびきには閉塞性睡眠時無呼吸症候群と単純いびきの2種類あります。単純いびきは音が規則的で、無呼吸にならないため夜中に覚醒しません。ところが閉塞性睡眠時無呼吸症候群は、しばしの無呼吸状態によって血中酸素が減少するため脳が覚醒反応を起こし、肺に酸素を取り入れるよう気道を一気に拡張します。この時、呼吸が再開され激しいいびきが起こります。血中酸素欠乏は心臓や肺、脳など、様々な機能障害を引き起こすため、非常に危険です。その後、脳は眠り再び無呼吸になり、同様に覚醒し呼吸を始め、これを一晩中繰り返します。脳が何度も覚醒するため充分な睡眠がとれず、日中も頭がぼんやりとして集中力が低下し、物忘れが多くなります。夜間の頻尿や耳鳴りといった症状があらわれることもあります。

 睡眠時無呼吸症候群の発症リスクが高いのは、先に述べたとおり肥満型と顎骨劣成長の非肥満型ですが、そのほかダウン症候群やプラダー・ウィリー症候群(筋緊張低下、性腺発育不全、性格異常、肥満を特徴とする症候群)、クルーゾン症候群(短頭症)など遺伝病患者にも多く見られます。上気道閉塞を起こす鼻炎・鼻の腫瘍など鼻の病気や、筋力を低下させる薬の服用や飲酒、呼吸機能を低下させる喫煙、そして甲状腺機能低下症や先端巨大症など様々な内分泌疾患も気道閉塞の原因となります。

 無呼吸症候群の特徴は不規則で大きないびきですが、実は大人だけでなく子供にも起こる病気なのです。

——どんな子供が対象となるのでしょうか。

 子供の無呼吸症候群は2歳から9歳くらいの間にあらわれます。症状は、大きないびきをかく、寝ている間によく動く、口を開けている、おねしょをする、日中も眠く注意力がない、発達遅滞などです。頭蓋顔面の形成異常や舌・扁桃肥大など先天性異常が原因であることが多いのですが、慢性的な鼻炎、特に蓄膿症は濃性の鼻汁や鼻の腫れが上気道を詰まらせるため、呼吸を困難にし、無呼吸の危険を高めます。

——バムルンラード病院の治療方針は?

 患者ご自身はいびきや睡眠中の異常を知ることが出来ないため、家族など身近な方にいびきや呼吸の状態などを伺います。一人暮らしなどで睡眠中の状態を知る人がいない方は、目が覚めたときに喉や唇が渇いている、頭痛がするなどの症状があるか、チェックしてみてください。これらは上気道閉塞により、一晩中口だけで呼吸していた場合に起こる症状です。

 無呼吸症候群が疑われたら、スリープテストを行います。これは装置を使い、睡眠中の呼吸状態や血中酸素量、脳波、心電図、筋肉の動きなどを検査するものです。

 無呼吸症候群と診断された患者は、CPAP(持続陽圧呼吸療法)で治療を始めます。これは加圧された空気を睡眠中に鼻から送り込むことで気道閉塞を防ぐ方法です。治療始めは違和感を覚えますが、数日で慣れます。夜中に覚醒することがなくなり、朝の目覚めを爽快に感じられるでしょう。

 そのほか、外科的治療法(手術)も行っています。

 子供には肥大化した扁桃腺・アデノイド(咽喉扁桃)切除を、大人にはえら削りや口蓋垂切除、両顎前出などを施しますが、比較的大きな手術であるため、よく検討する必要があります。軽症であれば、就寝時に歯科器具(マウスピース)を装着し、顎を固定することで気道を拡張します。横向きに寝ることも効果的です。

 睡眠時無呼吸症候群はただのいびきではなく、皆様さんの想像以上に危険な病気です。ご本人、またはご家族で無呼吸が疑われたら、至急当院にご相談ください。治療や予防に関するご相談も受け付けています。

——ありがとうございました。

バムルンラード・インターナショナル病院 内科(15階B)
住所:33 Sukhumvit 3, Bangkok 10110
日本語でのご予約・お問い合わせは
電話:0-2667-1501(日本人顧客サービス課直通)
ファクス:0-2667-2473(同)
URL:www.bumrungrad.com
《newsclip》


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