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タクシン派野党、軍の神経逆なで? 比例名簿上位にデモ指導者3人 

2011年5月18日(水) 20時35分(タイ時間)
【タイ】タクシン元首相派の野党プアタイは18日、7月3日の下院選の比例代表名簿上位20人を明らかにした。昨年4、5月にバンコク都心を占拠して治安部隊と衝突したタクシン派団体「反独裁民主戦線(UDD)」の幹部3人が当選確実な上位に並び、特権階級を中心とする反タクシン派との対決姿勢が鮮明になった。

 1位は16日の発表通り、タクシン氏の妹のインラク氏だった。インラク氏はプアタイが政権をとった場合、タイ初の女性首相となる見込みだ。

 2位にはお飾りとやゆされながらもこれまで党をまとめてきたヨンユット党首(元内務次官)が入った。3位はタクシン氏と旧知の仲で、演説上手で知られるチャルーム元内相、6位はプロードプラソプ元天然資源・環境次官と、党を支える重鎮が顔をそろえた。

 4位は1990年代にキングメーカーとして君臨したベテラン政治家のサノ元内相、5位はプラチャー元警察長官と、出戻り・新規参加組だ。

 UDDからは、昨年の反政府デモを主導し、保釈取り消しで今月12日に収監されたジャトゥポン前下院議員が7位、ジャトゥポン氏と並ぶ武闘派のナタウット氏が8位、医師のウェン氏が16位に入った。デモで多大な犠牲者を出したUDDにタクシン氏が報いた形だが、ジャトゥポン氏、ナタウット氏は反タイ王室のイメージが強く、王室護持を掲げる特権階級、軍主流派の神経を逆なでしそうだ。

 9—20位には元官僚、軍・警察関係者、実業家らが並んだ。

 次期下院(定数500)選ではアピシット首相率いる民主党とプアタイがそれぞれ200議席前後を獲得する見通しだ。カギを握る中小政党は反王室というイメージがあるプアタイとの連立に二の足を踏むとみられ、連立を組みやすい民主党がやや優勢とみられる。

 タイの過去3回の下院選を振り返ると、2001年は地方・貧困層へのばらまき政策を掲げたタクシン派政党が単独過半数に迫り第1党となり、第1次タクシン政権が発足した。2005年はタクシン派が議席の75%を占め圧勝し、2期目へ。タクシン氏は特権階級との権力闘争に破れ、2006年の軍事クーデターで追放されたが、クーデター政権下で行われた2007年末の総選挙ではタクシン派政党が480議席中230議席を占め第1党となり、政権に復帰した。しかし、特権階級の指示で軍がタクシン派政権と距離を置き、防備の手薄な首相府や空港を反タクシン派のデモ隊が占拠。さらに、2008年末、「司法クーデター」と呼ばれた憲法裁判所によるタクシン派与党の解党で、政権が崩壊した。混乱の中、民主党とタクシン派の一部が軍基地内で密談、連立政権発足に合意し、アピシット政権が誕生した。

 これに対しタクシン派は2010年4月、タクシン氏の巨額の資産の大半が裁判所命令で国庫に没収されたことを機に、UDDが地方住民、低所得者層を動員してバンコク都心部を占拠。同年5月19日、UDDの占拠地域に治安部隊が突入し、デモ隊を強制排除した。デモ隊と治安部隊の衝突による死者は90人以上、負傷者は1400人以上に上る。

 アピシット首相は混乱収束後、行政・司法などのダブルスタンダード(二重基準)廃止、低所得者支援などによる国家和解をうたったが、実質的な進展はみられず、持てる者(反タクシン派)と持たざる者(タクシン派)の対立が解けないまま、今月10日に下院を解散。総選挙で決着を図ることになった。
《newsclip》


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