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タイ下院選、タクシン派優勢 「システム外の権力」に懸念

2011年6月22日(水) 00時02分(タイ時間)
【タイ】7月3日投票のタイ下院選でタクシン元首相派の野党プアタイの優勢ムードが広がる中、タクシン派と対立する特権階級・軍の介入を懸念する声が出始めた。こうした懸念を裏付けるように、タイ軍の最高実力者であるプラユット陸軍司令官がプアタイに対する批判を強め、選挙後も不安定な政局が続く恐れが強まっている。

 タイではタクシン政権(2001—2006年)を追放した2006年の軍事クーデター以降、特権階級を中心とする反タクシン派と、地方住民、低所得者層を支持基盤とするタクシン派の抗争が続いている。タクシン派は軍事政権下の2007年末に実施された下院選で勝利し、政権に復帰したが、軍の不服従と反タクシン派市民による首相府とバンコクの2空港占拠で追い詰められ、2008年末に憲法裁判所が選挙違反でタクシン派与党を解党し、政権を失った。その後発足した反タクシン派のアピシット民主党連立政権は昨年4、5月の反タクシン派による暴動を切り抜け、今年5月に下院を解散、総選挙に踏み切った。

 選挙戦は当初、民主を中心とする与党陣営優位とみられたが、各種世論調査でプアタイが支持率を伸ばす一方、民主は足踏み状態。戦況不利とみた連立パートナーの一部はプアタイとの連立に前向きな姿勢をみせ始めた。

 こうした状況の中、プラユット司令官は6月9日、記者会見を開き、バンコク都内で麻薬捜査中の兵士をプアタイの下院候補の男性とその取り巻きが妨害し、拳銃をちらつかせて脅したと主張。「我々の兵士を脅すとは、何様のつもりだ」「必要なら100人でも兵士を送る」と言葉を荒げた。司令官はさらに、同14日、地上波テレビ2局で演説し、民主党支持であることを事実上明かした上、王室護持のため、よい人々を国会に送るよう国民に訴えた。タクシン派は反王室的なイメージがあり、司令官の発言はプアタイに投票しないようにとの呼びかけと受け取られた。

 こうした反タクシン派の圧力に対しては、連立パートナーのチャートタイパタナー党からも批判の声が上がった。党首のチュムポン観光スポーツ相は同党が2008年末に民主党連立政権に加わったことについて、「好きで参加したわけではない。避けようのない圧力がかかったからだ」と暴露。同党顧問のサナン副首相は選挙後の情勢について、「システム外の権力による介入を阻止するため、政党同士が協力する必要がある」と主張した。サナン氏は「システム外の権力」が今回介入すれば長引くと述べ、民主主義が失われる可能性を示唆。アピシット政権が2008年末、政党幹部による軍基地内での密談で発足したことに触れ、「今回も基地の中ということになったら自分は行かない」と述べ、「システム外の権力」に従わない姿勢を見せた。

 タクシン派と「システム外の権力」の抗争を懸念してか、タイの証券市場では5、6月、外資の資金引き揚げが進んだ。タイ中央銀行によると、外資の5月の売越額はタイ株式市場で170億バーツ、債券市場で570億バーツ。6月に入っても外資の流出は続き、6月1—20日のタイ株式市場での外資の売越額は217億バーツに上った。
《newsclip》


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