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国際司法裁 タイ、カンボジアに紛争地域からの撤兵命令

2011年7月18日(月) 21時31分(タイ時間)
【タイ、カンボジア】世界遺産のヒンドゥー寺院遺跡プレアビヒア周辺地域でのタイとカンボジアの国境紛争で、国際司法裁判所は18日、プレアビヒア周辺の国境未画定地域の領有権に関する判断を求めたカンボジアの訴えを受理するとともに、タイとカンボジアが武力衝突を繰り返している地域に非武装地帯を設定し、両国に対し、非武装地帯からの撤兵を命じた。また、プレアビヒアへのカンボジアのアクセスをタイが妨害することを禁止し、紛争地域に東南アジア諸国連合(ASEAN)の停戦監視団を受け入れるよう両国に指示した。

 国際司法裁は1962年、プレアビヒアをカンボジア領とする判決を下したが、周辺の領有権については判断を示さなかった。カンボジアはタイとの国境紛争を受け、今年4月、この判決の解釈を国際司法裁に要請し、判決が出るまでの暫定措置として、プレアビヒア周辺からのタイ軍の撤退と軍事行動の停止を命じるよう求めていた。

 タイはカンボジアとの紛争の2国間協議による解決を主張し、ASEANの停戦監視団受け入れを事実上拒否。国際司法裁に対しては、カンボジアの訴えを却下するよう求めていた。18日に国際司法裁に出廷したタイのカシット外相は、「両国に撤兵を呼びかける内容で、満足した」と述べたが、実際にはタイ側の主張はほぼ全て退けられた形だ。

 タイのアピシット首相は19日に国防相、陸軍司令官、外務次官らを集め、対応を協議する予定。ただ、タイでは今月3日の下院総選挙で、領土問題に敏感な特権階級・保守派が支持するアピシット民主党政権が破れ、タクシン元首相派の政権復帰が決まった。タクシン元首相はカンボジアのフン・セン首相と個人的に親しく、両国関係はタイ新政権の下で好転すると予想される。

 プレアビヒアはクメール王国が9—11世紀に建立したとされ、タイ・カンボジア国境地帯の崖の上に建つ。2008年に国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産に登録されたが、世界遺産の共同登録・管理を主張していたタイはこれを不満とし、同年以降、周辺地域でカンボジアと武力衝突を繰り返した。今年2月と4月には両国軍が大砲、ロケット弾を撃ち合うなど本格的に交戦し、双方の兵士、住民ら30人近くが死亡、100人以上が負傷し、周辺地域の住民10万人以上が一時避難した。この問題をめぐり、タイは今年6月、世界遺産条約からの脱退を表明した。
《newsclip》

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