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〈タイ医療事情〉 ストレスで胃が痛むのはなぜ?

2011年8月19日(金) 21時37分(タイ時間)

ヨッサポーン ソーポーンタナシリ医師
Yosaporn Sophonthanasiri , M.D.

消化器・肝臓病専門の内科医。内視鏡を使った検査や治療を行っている。

——消化器系には様々な臓器が含まれていますが、具体的にどの臓器のことでしょうか

消化器系とは食道/胃/小腸/大腸など消化管と、肝臓/胆のう/胆管/すい臓など消化腺の総称で、人間の体内で最大の器官群です。当科では消化器系全ての病気に対応しています。

消化器系の病気には、大事に至らない軽いものから死に至るガンまでさまざまなものがあります。軽いものではストレスが原因の神経性胃炎がありますが、原因不明の腹痛で検査を受けガンがみつかるケースもあります。また逆に、重度の腹痛で検査を受けても、何も発見されないこともあります。

——つまり、検査を受けないと病気かどうか分からないということですね

外観では診断できないため、検査は必要です。当院では内視鏡で精度の高い検査を行っています。内視鏡は検査中の治療や病変が疑われる細胞の採取も可能です。検査後の治療の際も、大きく切開する外科手術は必要ありません。

——代表的な病気を教えてください

世界情勢の変化は人間にさまざまな変化をもたらしています。日々の生活や食生活の変化、そしてストレスの増加など、こうした変化やストレスによって身体はダメージを受けていますが、これらのダメージを軽視していると、生死に関わる病気に発展することがあります。ストレスは消化器系に影響を及ぼすことが多く、神経性胃炎や消化管潰瘍を発症します。食欲減退・不振、過食、落ち着かない、イライラする、周囲を煩わしく感じる、不眠、体調不良などの症状が現れたら注意が必要です。腹部膨張感や空腹時・満腹時を問わず頻繁な腹痛に悩まされ、やがて潰瘍に発展します。

——ストレスがたまると胃が痛むのはなぜでしょうか

ストレスは自律神経を刺激し、アドレナリンを通常よりも多く放出させます。これにより興奮状態が続き、消化器の機能に異常を起こします。胃液は大量に分泌され、腸の機能が低下しているため消化不良を起こし、吐き気などさまざまな症状を引き起こします。ストレスは消化器だけでなく、心臓や筋肉の働きにも悪影響を及ぼします。

胃の異常といっても、げっぷを伴う腹部膨張感の原因には、早食いも考えられます。食事はよくかんで、少しずつ飲み込みましょう。

——特に危険な腹痛はどんな痛み方ですか?

呼吸に影響するほどの激しい痛みで、吐き気や黒色の便を伴う場合はとても危険な状態です。至急、診察を受け治療を始める必要があります。消化管出血を起こしていたり、胃に孔があいている可能性があるからです。

——潰瘍の予防法は?

規則正しい3度の食事をとることです。これで正常な消化活動を維持することが出来ます。既に潰瘍ができている場合も、規則正しい食事を心がけましょう。始めは腹痛を感じるでしょうが、お粥など消化しやすいものを少しずつとってください。味付けの濃い物や揚げ物は避けましょう。煙草、アルコール飲料、カフェインを含む茶/コーヒー/栄養ドリンク、炭酸飲料も胃炎の原因となり、胃潰瘍を悪化させます。アスピリンやステロイド系の鎮痛剤、抗炎症剤も避けましょう。服用中の持病薬があれば、飲んでも安全かどうか医師にご相談ください。ウォーキングやジョギング、サイクリング、ダンスなどのスポーツや読書、瞑想など、ストレスを解消する行動を日常生活に取り入れることも大切です。

——胃の病気以外では?

 肝臓の病気があります。肝臓は右の肋骨からみぞおちにかけて位置する最大の臓器で、体内のバランスを整える様々な機能を持っています。解毒や排出、代謝を行い、止血に必要な血液凝固因子となるタンパク質を合成し、摂取した食物中の脂肪の分解を助ける胆汁の生成、鉄分・ミネラル・ビタミンの蓄積、血糖値の調整補助などを行っています。

 肝臓の病気には、ウィルス性肝炎(A型、B型、C型)、そして肝炎が引き起こす肝硬変があります。肝炎の代表的な症状は、倦怠感、食欲減退、吐き気、そして濃い色の尿が出て、白目や皮膚が黄色くなります。A型肝炎の感染源の多くはウィルスに汚染された食物や飲料水です。A型肝炎ワクチンを接種するか、加熱調理した食事や安全な水を飲むことで予防できます。B型肝炎の感染源は感染者の血液や体液などで、注射針の使い回しやコンドームを使わない性交、歯ブラシやカミソリ、爪切りの共有によって感染します。胎児への母子感染も90%と高く、出産後に母親が感染した場合は母乳によって乳児に感染することもあります。C型肝炎の感染源は、感染者からの輸血や注射針の使い回し、刺青などです。自覚症状はほとんどなく、健康診断や献血前の検査で発見されることが多いようです。ある研究によると、欧米・アジア各国でC型肝炎患者の20—25%が20年以内に肝硬変を発症し、年3—5%の肝硬変患者が肝臓ガンになるといわれています。

消化器系ガンの危険因子は35歳以上、血縁にガンを罹患された方がいる場合や、塩分の多い食事、喫煙、飲酒です。国籍でみると、日本人は多いといわれています。内視鏡検査は病気の予防や早期の治療に効果的です。検査時間はわずか約10分。鼻から内視鏡を入れる経鼻内視鏡検査も行っています。結果は当日お知らせします。完全予約制で、検査の6時間前から絶食する必要があります。

——ありがとうございました

サミティヴェート病院スクムビット
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