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バンコク洪水防衛線 被災住民が堤防破壊、水門開放強要 

2011年11月1日(火) 14時40分(タイ時間)
【タイ】バンコクの北方から押し寄せる洪水を、タイ政府、バンコク都庁は土のうの堤防と運河でバンコクの東西に流し、中心部を守る作戦をとっている。この作戦自体は「それ以外、方法がない」(日本人専門家)と受け止められているが、防衛線の外側の浸水地域の住民は「都心を守るために自分たちが犠牲になっている」として不満を強め、水を早く流そうと堤防を壊したり、運河の水門開放を当局に強要するなどし、当局との対立が深まっている。

 バンコク北部のクロンサームワー区では31日、浸水地域の住民数百人がサームワー運河の水門を開け水を流すよう要求し、近隣の道路を封鎖したり、警官を押しのけて土のうの堤防を壊すなどした。政府は住民との話し合いの末、水門をより広く開けることを認めたが、スクムパン・バンコク都知事は1日、バンコク東部の工業団地周辺などで洪水が起きる危険が高まったとして、この措置を批判。ティーラチョン副都知事も「センセープ運河に水が流れ込み、バンコク中心部で洪水が拡大する恐れがある」と警告した。

 ティーラチョン副都知事はまた、バンコク北部の浸水地域住民がプラパー運河(上水取水路)の堤防を壊し、洪水の水が上水取水路に流れ込んだことにも触れ、数百万人が使用する水道水の水質が悪化したと批判。こうした行動で事態がコントロール不能になる恐れがあるとして、住民に対し、冷静な対応と忍耐を呼びかけた。

 今回の洪水の原因となったのは6月から10月上旬にかけてタイ北部、中部に降った大雨で、北部の大規模ダムが一気に大量の放水を始め、事態が悪化した。洪水は北部から中部へ流れ下り、中部のアユタヤ県、パトゥムタニ県で工業団地7カ所が水没、ホンダ、ソニーなど日系企業400社以上の工場が被災した。10月下旬から首都バンコクにも洪水が押し寄せ、広い範囲で浸水が起きている。

 11月1日時点で被災者はバンコク、アユタヤなど26都県の約210万人。7月29日—10月31日の水害による死者は384人で、2人が行方不明になっている。

 今回の洪水はピーク時の水量が満水時の琵琶湖の3分の2に相当する160億トン、浸水した地域が1万6000平方キロに及ぶとみられ、タイでは過去50年で最悪と報道されている。

 日本の国土交通省によると、インドシナ半島の6—9月の降水量はタイ北部チェンマイで平年を34%、バンコクで40%、ラオスのビエンチャンで44%上回るなど、ほとんどの地点で雨量が平年の1・2—1・8倍だった。
《newsclip》


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