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〈タイ業界事情〉 洪水被災からの復興に向けての人材確保

2011年12月11日(日) 21時16分(タイ時間)

A-Link Recruitment Co., Ltd.
北川 泰崇 氏 Executive Director

 日系企業だけで400社以上の工場が被災した今回の洪水。水に浸からずとも、サプライチェーンの寸断で多くが操業停止に追い込まれ、被害は未だ拡大の一途をたどっている。被災した企業の責任者は、被害状況の確認や復旧作業に苦労されているはずだが、気にとめて置かなければならないことがもう一つある。自宅待機が続く従業員に対するケアや、再稼働に向けての人材確保だ。緊急事態の中、人は減るこそすれ、増えることはない。再稼働にこぎつけたとき、今度は人材に頭を悩ませることになるだろう。

 今回の洪水は、タイ北部・中部で今年6月から10月上旬にかけて降った大雨と、北部のダムが増水に耐え切れずに一気に放水したことが主因。洪水は北部から中部にかけての県を飲み込み、中部アユタヤ県やパトゥムタニ県では工業団地7カ所を冠水させた。

日系企業も400社以上の工場が被災。洪水はさらに南下してバンコクにも達し、今後はバンコク以東・以西での被害拡大が懸念されている。

 浸水の度合いは深い場所で2—3メートル。建屋の2階まで水が達し、1階の生産設備は完全に水没という工場もあった。

 当局の避難指示が遅れて、前日夕方に通常どおりに帰宅、翌朝出勤してみたら職場が水に埋もれていたという事例もあったという。設備、製品、重要書類を避難させるどころか、全てを置いたままだ。

 直接の被災は免れても、サプライチェーンの寸断で部品・材料が不足、操業停止に追い込まれた企業も多い。

 メーカーにとって最優先すべきは再稼働だ。被災規模の確認、清掃、設備の修理、使用不可の場合は新たに取り寄せるなど、責任者は膨大な量の作業に追われることになる。

 どの企業も再稼働までは、生産拠点の移管、提携企業・本社への代替生産の依頼などで凌いでいる。洪水が押し寄せていないタイ東部にはそのような避難が集中し、新たな移管先や依頼先を見つけるのは今や困難のようだ。

 復旧作業が最優先なのは当然のことだが、同様に気をとめなければならないのが、従業員に対するケアだ。盤谷日本人商工会議所が会員企業を対象に実施した洪水被害に関する調査で、「休業補償を支払って従業員を解雇しない」という回答が62%を占めたとしている。しかし、被災が長びいた場合、どのように変わってくるだろうか。特に中小企業は仕事無しに従業員を抱えるのは重荷だ。

 法律専門家に確認したところ、労働者保護法の第75条に、「不可抗力でない事由によって事業全体もしくは一部を休業させる場合は休業前に受け取っていた勤務日賃金の75%の手当を支払わなければならない」という意味の定めがある。今回の洪水は不可抗力とみなされ、賃金支払いの必要はなくなる方向のようだ。

 自宅待機の従業員は、不安を抱えている。取り敢えず賃金は受けられると分かっていても、いずれは職場に戻れると分かっていても、「賃金支払いの条件が変わるかも知れない」「早く仕事をしたい」ということになる。

 このような不安には、会社はなかなか気づかないものだ。放っておくと退職していってしまう。人材は自然に減っていっても、増えていくことはない。

 今回の洪水は、タイ国内のメーカーが増産を続けている最中に起きた。もともと人が探しにくい状況だったが、被災を機会に人が動いて流動的となり、再稼働の時期にはさらに供給不足に陥るだろう。実は2008年末に始まったリーマンショックの時にも、似たような現象が起きている。従業員のケアを怠れば、人は必ず去っていく。

 弊社が提案するのは、従業員に対する聞き取り調査だ。本来は人事部が行うべき業務を代行し、人材サポートで復旧をお手伝いさせていただきたく思っている。

 この聞き取り調査は退職防止だけではなく、企業の人事評価、転職希望者の相談受付を兼ねる。双方の評価や希望によって退職・転職という選択肢が取られたとしても、弊社がお手伝いすることによって円満に収めることが可能だ。

 来年は被災工場の再稼働ラッシュとなろう。せっかく工場が立ち直っても肝心の従業員がいない、という事態に陥るメーカーが出てくるのは必至だ。そうならないよう、今から従業員のケア、人材確保に務めることが大切だ。

A-Link Recruitment Co., Ltd.
住所:92/51A Sathorn Thani Building 2 Level 18, North Sathorn Rd., Bangrak, Bangkok 10500
電話:0-2233-1111 (お問い合わせは日本人チームまで:北川・そうさ・源間・東條・久保田)
Eメール:info@alink.co.th ウェブサイト:www.alink.co.th
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